“痛み”の病症
“痛み”からの解放

  “痛み”は最もつらい症状の一つであり,全身の至る所で発生し得ます。痛みを伴わない病症の方が相対的に少ないでしょう。
 これはある種の信号(身体が発する不調の訴え)ですので,単独で生じることはまず無く,必ずある種の疾病や症候に伴って現れます。また,複数の痛みが一緒に現れることも多いです。
 その原因は東洋医学の専門書によりますと,累計(各部位×要素など)で300種類を越えるそうです。
 直接的な主な原因には,「冷え、炎症の熱、膿による圧迫、血行障害、ある種の水毒」などがあります。
 漢方治療では,体質傾向や症状の特徴から系統に分け,治療に必要な薬を割り出していく方法をとります。
 痛みがあるのに,病院での診察や検査では異常が見当たらないため治療が受けられないこともまだ尚多いようです。特に慢性(長患い)の痛みには漢方治療をお勧めします。

● 頭痛(急性頭痛と慢性頭痛)

 急性の頭痛は,風邪を引いたり、身体を急に冷やした際に発症することが多いですが,これは一般的に風邪を治したり身体を温めるだけで治ります。

 慢性の頭痛は,「肩こり、めまい、吐き気、不眠」などを伴うことがあり,それぞれの症状が互いに原因となり悪循環に陥っているケースもあります。
 慢性頭痛の主な原因には,「冷え(胃腸病を含む)、血行障害、鼻の病気、婦人病(PMSの一環として)、腎性の高血圧、体質的な要素」などがあります。

更新:2023/07/26

● 神経痛(三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛など)

 三叉神経痛(顔面神経痛)、肋間神経痛、坐骨神経痛など様々ですが,大まかには冷えや血行障害が直接の原因となっている場合が多く,筋肉や腱の強張り、しびれ(ピリピリ痛む、感覚麻痺)などを伴うこともあります。

 肋間神経痛:脇部から胸肋部にかけて現れます(右脇肋部に多く現れる傾向があります)。帯状疱疹(帯状ヘルペス)の後遺症として発症する場合もあります。

更新:2023/07/26

● 関節痛(首、顎、肩、肘、手指、背、腰、股、膝、足脂)

 どの関節痛も,その周囲の筋肉や腱が強張って生じることがほとんどです。治療せずそのままにしておくと骨にも負担が掛かりますし,骨に異常が見られる場合は比較的重症です。
 生活習慣が原因となっていることが多いですが,体質的な要因も大きいと考えます。
 上記の神経痛と重なる特徴もあり,しびれを伴うこともあります。

 首(頸):顎や肩の痛みに伴って生じることが多いです。病症には「顎(がく)関節症、肩関節周囲炎、五十肩、頸椎ヘルニア」などがあります。

 顎(あご):主に「顎(がく)関節症」ですが,同時に首周囲も強張りやすくなります。

 肩:「重度の肩こり、肩関節周囲炎、五十肩」以外に,心疾患(「狭心症、心不全」)でも見られることがあるため注意が必要です。

 肘(ひじ):単純な肘関節痛の他,首や肩にも痛みが生じる「頚肩腕(けいけんわん)症候群」と呼ばれる病症があります。「頚肩腕症候群」につきましては,少し下の方でお話しします。→ 「頚肩腕症候群

 手指:比較的重度の「腱鞘炎」や「ばね指(弾発指)」で起こる他,「関節リウマチ」の影響が現れやすい部分でもあります。

 背:「姿勢が悪い、長時間の固定姿勢、胃腸病・肝臓病・心臓病・呼吸器疾患を患っている、椎間板ヘルニア」などにより現れることが多いです。

 腰:「姿勢が悪い、長時間の固定姿勢、腎臓病や婦人病を患っている、腰椎ヘルニア、ぎっくり腰」などにより現れることが多く,股関節痛や坐骨神経痛を伴うこともあります。

 股:単独で生じる他,腎臓病や婦人病を患っている場合に,腰痛に伴って現れることがあります。

 膝(ひざ):関節痛の中では最も多く見られます。右が痛めば左で保護している内に左も痛み出し,その痛みは上に進めば首に達し,下に進めば足首に達することもあります。身体の移動には最も重要な関節ですし,拗(こじ)れると治りが悪くなりやすいため,早めの治療開始が望ましいです。「痛いために充分な運動ができない → 運動不足で血行が悪くなり病状も悪化」という悪循環に陥りやすいです。

 足脂:一般的には「歩き過ぎ」や「サイズが合っていない靴を履き続ける」などの改善しやすい原因が考えられますが,病症として挙げられる内的な要因によるものに「痛風」があります。「痛風」につきましては,このページ中程でお話しします。→ 「痛風

※上記中の「ヘルニア」は,はっきりとした重症でなければ漢方で治療できます(ただし,手術後は難しいケースが多いです)。

更新:2023/07/26

● リウマチ

 漢方では,関節痛がリウマチ性のものであるか否かは問いません。「リウマチ」は西洋医学(現代医学)の病名でして,漢方では参考程度にしかならないためです。
 漢方治療では病名を治療するのではなく全身各所に現れる特徴(厳密には「証(しょう)」と呼びます)を治療することに最重点を置きます。
 治療時は病人の体質傾向やそこに現れる「証」に適合した薬を選定します。また同時に,飲食面の配慮も重要となります。
 このリウマチは完治させるのが非常に難しい病症ですが,改善が得られた例は多くありますので,ぜひ一度お試し頂きたいです。

更新:2023/07/26

● 頚肩腕症候群

 主に肩関節周囲から手指にかけて,腕全体に痛みを発して動かしにくくなる病気です。職業病として手を使う仕事に携わっている方に多く見られる傾向もあります。もちろん仕事とは関係のない場合もあります。また,中には検査でリウマチ反応を呈する場合もあります。
 症状としては,関節が痛く、腕全体が重くだるいといった特徴が見られます。時には手首や肘関節の疼痛だけでなく,これに熱感を伴うケースもあります。いずれの場合も冷えると一層症状が悪化するようです。
 「リウマチ性関節炎」と「一般の関節炎」の違いは,前者の場合は身体の左右対象的に同じ部位に症状が現れるという傾向があり,後者の場合は右の腕だけが痛むと言うように片側だけに症状が現れます。
 現代医学の治療では,鎮痛剤や消炎剤を用い,時には副腎皮質ホルモン製剤を使用することもあります。長期の服用ではやはり副作用が心配になります。いずれにしましても,ある程度の期間治療しても効果が得られない場合は,やはり漢方を応用した治療をお勧めします。

更新:2023/07/26

● 肩こり

 世界的に見ると,「肩こり」は日本人に多いようです(肩や腕の関節痛やしびれを伴うこともあります)。
 急性のものは別として,中医では内蔵との関連性が考えられます。とくに多く見られるのは肺、胃、肝の機能異常との関係です。
 慢性化した「肩こり」の場合は,肺、胃、肝の機能上の負担を取り除けば改善します。

更新:2023/07/26

● 五十肩

 肩の関節の働きが悪くなって,腕を上げたり背部に曲げることができなくなる症状です。ときには重く痛だるく感じ,あるいは激しい痛みのために夜間眠れなくなることもあります。
 中医理論では,主に「風、寒、湿」の病邪が肩の関節部に侵入し停滞して,この部分の気血の循環(実際には血液やリンパ)が悪くなって発生するものと理論づけています。
 この場合は普段から肩を冷やさないように工夫する必要があります。また,毎日少しずつ強烈に痛くなる少し手前まで関節を曲げ伸ばしするのが効果的なケースも多いです。
 漢方治療でも回復をサポートできます。

 本記事は「生活習慣病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の生活習慣病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/08/01

● 腰から下の冷えとむくみ・痛み

 関節痛や筋肉痛のことを漢方医学では「痺証(ひしょう)」あるいは「風湿病(ふうしつびょう)」と呼んでいます。体の陽気が不足して水分の代謝が悪くなり,湿気が腰や下半身に停滞して発する症状です。“腰から下の冷えとむくみ”は,身体の陽気が不足して水分代謝が順調に行かなくなり,体内に停滞した水分が身体下部に下降し,そのまま停滞して発生します。また“腰から下の冷えと痛み”は,その部位に寒冷と湿気が停滞して発生することから,「寒湿痺証(かんしつひしょう)」と呼んでいます。冷えると痛みが増し,温めると軽減するという特徴があります。“寒気(かんき)は下部から侵入する”と言われています。この症状でお悩みの方は,日頃は腰から下を決して冷やさないようにしなければなりません。ご相談下さい。

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● 夜間になると痛みが増す関節痛

 昼間身体を動かしている時はそれほど強い痛みは感じないが,じっとしている時や夜間の睡眠中に痛みが増すというものがあります。活動しているときは,その活動によって体内の気のめぐりも盛んになり,それによって血液の循環も盛んになります。しかし,夜間など活動していないときは,気のめぐりが緩慢となり,これ付随して血液の循環も滞るようになります。つまり,一種の血液循環障害(血)が関与する病気というわけです。この症状は単なる鎮痛剤の服用ではなかなか改善されません。滞った血液の循環を盛んにしなければ根本治療は不可能です。漢方薬には奏功するものが沢山あります。ぜひご相談下さい。

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● 冷えると痛みが増す関節痛

 関節痛などで寒くなると痛み出すもの,あるいは冷えると痛みが激しくなるというものがあります。冷えが血管や筋肉を収縮させて血液の循環を悪化させるために起こる症状です。漢方医学ではこの病理現象を「寒凝血(かんぎょうけつお)」といいます。これもまた,一種の血液循環障害(血)が原因となって発生する症状です。“冷えは下部から侵入する!”と言われます。この症状は一般に腰から下に多く出現する傾向があります。これも漢方薬で改善できます。

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● 胸部・心臓部の痛み

 胸脇部・心臓部の痛みというと,すぐに「狭心症」や「心筋梗塞」などの心臓病を思い浮かべます。これらの病気は心臓自体に直接栄養分を運んでいる血管が異常に収縮たり詰まったりして発生する病気です。しかし,胸部の痛みには心臓と関係のないものもあります。それはある種の肝機能異常,例えば,一般に言われる肝臓病や,漢方医学で言われる肝鬱気滞(かんうつきたい)あるいは肝気鬱結(かんきうっけつ)などの病症で発する痛みです。胸脇部には肝臓の経脈(けいみゃく)がめぐっていますので,肝機能に異常が発生しますと,この経脈の気血のめぐりが悪くなって胸部や心臓部に一種の苦悶感をともなった痛みが現れるのです。この症状を「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」と呼んでいます。また,胸脇部や心臓部の痛みは,肺の病気でも現れることもあります。このときは咳や呼吸異常を伴うのが普通です。「狭心症」や「心筋梗塞」などの心臓病で手術が必要なほど重症なものは別ですが,ほとんどのものは漢方薬で治療できます。

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● 肝臓・胆嚢部の痛み

 右の肋骨下部の内側に発生する痛みです。時にはその痛みが右側の脇部あるいは背部にまで波及するケースもあります。また,この部位の下から内側に向けて手で押さえると圧迫痛を感じ,またじっとしている時にも痛みを感じることがあります。漢方医学で「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」と呼ばれている症状の一つです。急性あるいは慢性の「肝炎」や「胆嚢炎」で多く見られる症状ですが,肝臓や胆嚢に炎症が無くても現れることがあります。また,この種の痛みが時々現れるものでも,肝機能検査をして異常な数値が現れる場合もありますし,現れないものもあります。いずれの場合も漢方医学では「肝胆病(かんたんびょう)」として捉えて治療します。また一般に,この症状の現れやすい人は,この症状と同時に胃腸症状(例えば,精神的ストレスなどを受けると胃腸の働きが乱れやすく,強くお腹が脹ったり,下痢や腹痛を起こしたりするなどの症状)も伴いやすい傾向があります。漢方療法が良く奏功します。ご相談の上,ぜひ当店の漢方薬をお試し下さい。

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● ふくらはぎの引きつりと痛み

 ふくらはぎの筋肉が強ばって痛だるく,あるいは足の裏の筋が引きつって痛むという方をよく見かけます。筋肉への栄養が不足して発する症状でして,一種の筋肉ケイレンです。漢方医学には,「肝は筋をつかさどる」という理論があります。ここに述べる「筋」とは,関節部ににある「腱(けん)」や「靱帯(じんたい)」のことです。つまり,肝臓に何か異変が起こると,肝臓に貯蔵される血液が「腱」や「靱帯」に充分に送られ難くなるなり,そのため「腱」や「靱帯」が栄養不足をまねいて堅く強ばり,引きつって痛みを発するようになるという訳です。「ふくらはぎ」はその最も現れやすい部位なのです。このような方は,膝の関節痛や屈伸不利などの症状を起こしやすい傾向があります。また,この症状が全身の筋肉に発生するケースもあります。そのときは全身の筋肉が強ばって,活動に支障をきたすようになります。早期のうちに治療しましょう。

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● 口内炎・アフタ性口内炎の痛み

 口内炎(舌面や頬・唇の裏側にできる炎症のこと)には急性のものと慢性のものがあります。とくにしょっちゅう繰り返して発するものを「アフター性口内炎」と呼んでいます。漢方医学ではこれを「上焦の湿熱証(しつねつしょう)」と診断します。つまり,湿気と熱が上半身にこもって口の中に炎症をもたらした病症というわけです。痛みの激しいもの,激しくないもの,また一時的なものから数年にも及ぶ慢性のものまでいろいろです。その原因は内臓(特に胃腸)にあります。この症状をよく起こす人は,毎日の食生活に改善すべき点があります。日頃は食べ過ぎに注意し,油っこい食品・濃いお茶・アルコール類・トウガラシ食品をできるだけ控えるようにし,菜食中心の食事を心掛けましょう。便秘はとくに禁物です。漢方薬で改善できます。治療はそれほど難しくありません。ご相談下さい。

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● 慢性化したノドの痛み

 カゼを引くとすぐノドが痛くなる,扁桃腺が腫れやすい,咽頭痛を起こしやすいなど,体質的にこの種の症状を発しやすい方がいらっしゃいます。漢方治療では,ノドの炎症はとくに肺の機能異常と関係があると考えています。そのため風邪を引いたときなど肺の機能に異常が発生しますと,ノドの部分の気血の循行が異常をきたし,その部分に炎症を起こしやすくなります。漢方治療では,肺の機能を強めて皮膚や粘膜の抵抗力を高める方法を考えます。ノドの痛みでお悩みの方,ご相談ください。

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● 痔疾

 「痔疾」で苦しんでいる方は非常に多く,とくに痛みの激しい痔疾の場合は,本人にとっては本当に耐えられないほどつらいようです。「痔疾」には,“脱肛、切れ痔、カユ痔、イボ痔、出血痔”などがあり,便秘や下痢を伴うものもあります。根本治療には少々時間がかかりますが,根気よく続けることが肝要です。
 痔疾は一般に痛みの症状で苦しむことが多いのですが,肛門のカユミの症状(かゆ痔)もあり,これもまたとても辛いようです。肛門のカユミは,痔疾の一種である「肛門周囲炎」を起こしたときに発する症状です。カユミの激しいときはじっと落ち着いて座っていることもできないくらいになります。乾燥性と湿潤性の違いがあります。また,男性の場合は“陰嚢湿疹”を,女性の場合は“陰部掻痒”を併発しているケースもあります。
 この症状もまた,体内に停滞する「水湿」と「熱」の結合によって形成されるものでして,「湿熱証(しつねつしょう)」と呼ばれる病症に属します。そして,この“湿熱”が肛門周囲の皮膚粘膜に流注し,そこに炎症をもたらしてカユミを発生させるという訳です。この症状をお持ちの方は,日頃は便秘に注意し,油っこい食品、濃いお茶、コーヒー、アルコール飲料、トウガラシ料理などをできるだけ避け,菜食中心の食事に心掛けるようにしましょう。
 大抵のものは改善できますので,お悩みの方は思い切ってご相談下さい。

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● 痛風

 遺伝的な要因によることが多いといわれる病気ですが,実際にはそのほとんどが生活習慣によって発病するといっても過言ではありません。
 男性に多く現れ,近年増加の傾向にあると報告されています。
 現代医学では,ある種の原因によって血中の尿酸が増加し,その尿酸塩が関節内に沈着し過ぎて起こる病気と考えられています。
 足の親指の関節部に発することが多く,赤く脹れて激痛を発し,重症のものでは症状が足の甲全体に及びます。また,この痛風患者の20〜30%に“尿路結石”が合併症として見られることも報告されています。
 中医では,その症状特徴から,体内に慢性的に停滞した「湿」と「熱」が結合して引き起こされる病症,即ち「湿熱下注(しつねつげちゅう)」と考えられています。「湿」の停滞によって患部が腫れ,「熱」の停滞によって炎症を起こして赤くなります。
 治療には,飲食の節制と個々の情況(体質や症状の特徴・程度)に合わせたお薬の選定が必要です。

更新:2023/08/30

● 帯状疱疹(ヘルペス)

 漢方医学でいう少陽胆経や少陽三焦経といわれる部位,すなわち脇腹や腕の部位に発生しやすい病症です。ヘルペスウイルスによって皮膚に水疱や膿疱のできる病気でして,激しい痛みを発します。漢方医学的には,体内に停滞した湿邪と熱邪が結合して形成される「肝胆湿熱証」という病症に属します。発病時はトウガラシ・アルコール類・脂っこい物をできるだけ避けるようにしなければなりません。漢方薬で改善できます。

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● 自動車事故の後遺症

 自動車事故の後遺症(例えば,頭痛や首筋肉のコリと痛み,あるいは神経症状など)でつらい思いをしている方が多く見受けられます。お仕事など日常生活にも支障をきたすだけでなく,精神的にも大きなダージを受けることになります。事故時の急激な衝による筋肉の損傷,あるいは激しい衝撃による身体各所の骨の損傷,あるいは二次的に発生する血液の循環傷害(すなわち「血」)などによって,非常に複雑な病理が形成れ,出現する後遺症状もそれだけ複雑になります。単に鎮痛剤や精神安定剤などを続けるだけでは根本治療はできません。回復には症状時間がかかるかも知れませんが,やはり漢方治療の方が効果的だと考えます。お苦しみの方,ぜひ当店の漢方療法をお試し下さい。

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● ギックリ腰

 本症は腰痛とともによく見られる症状であり,一般の腰痛よりも腰部の筋肉がさらに極度に緊張したために発生する病症と言っても良いでしょう。筋肉が緊張しきっているところへ,ちょっとした負担が加わり,筋肉を傷めて発生するものです。重症のものでは腰椎の損傷をまねくこともあります。
 “ギックリ腰”をよく引き起こす人は,腰部の筋肉がつねに凝っている傾向があります。時にはその凝りが背部の筋肉にまで及んでいるものもあります。
 その腰痛が職業病的な原因によって発生するものであれば,そのことが原因ですから,日頃は仕事上で腰に負担をかけないように注意することが最も重要です。
 また,“ギックリ腰”の原因である背部や腰部の筋肉の凝りは内臓との関連性がありますので,その点も考慮しなければなりません。例えば,胃腸の働きに負担がかかりますと,その後背部の筋肉が必ず凝って背部痛を起こすようになりますし,時にはその凝りと痛みが腰部にまで及ぶこともあります。そのほか,腰痛は腎機能異常と関係のあるケースもあります。
 治療については,手術を要するような重症のものは別として,たいていのものは漢方薬で治療できます。また,手術を必要とするような重症ものでも,痛みの極めて激しいものでも,手術をせずに漢方薬で治療できた例が沢山あります。

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● むち打ち症

 本病は,最も多く見られるケースは,自動車事故などで首の筋肉に急激な力が加わり,その部位の筋肉が損傷を受けて発する症状です。時には首の骨にまで影響するものもあります。首を曲げることもできず、腕にシビレや痛みを発し、頭痛頭重に悩まされ、不眠に陥り、イライラし、精神が落ち込み、時には嘔吐などの胃腸症状も伴うなど,本人にとってはとても辛い症状となります。精神安定剤・睡眠薬・鎮痛剤・筋弛緩薬・胃腸薬などの対症療法をいくら続けましても,その作用は一過性であり,なかなか改善が見られないのが普通です。また,長期間治療しても治りにくいという場合は,内臓の機能異常も考慮しなければなりません。手術を要するような重症のものは別として,それ以外のものでしたら漢方薬で治療できます。また,手術をしても改善が見られないときにも,漢方薬を使用すべきでしょう。

更新:----/--/--

● 変形性関節症

 関節リウマチや慢性関節炎などに多く見られる病症です。関節の炎症が長引いて関節部の血液循環が障害を起こし,硬化変形して発生する病気です。冷えると症状が悪化するもの、患部が赤くなって腫れるもの、関節部が固まって動かなくなっているもの,など症状や程度も個人によって異なります。漢方医学では,この病気のことを「痺症(ひしょう)」あるいは「風湿病(ふうしつびょう)」と呼んでいます。
 もっと詳しく説明しますと,漢方医学ではこの発病原因に風・寒・湿、並びに痰・血という三つの要因が深く関与していると理論づけています。西洋医学では,血液検査などでリウマチ反応があらわれると,関節リウマチということですぐに副腎皮質ホルモン製剤を使用する傾向がありますが,できることならこの種の製剤は控えたいものです。その理由は,この種の薬物を使用しますと,一時的には症状をほぼ確実に軽減させることはできるのですが,副作用が強いために結果的に病状を一層複雑にしてしまい,頑固な病症へ発展させてしまうことが往々にしてあるからです。注意が肝要です。その点,漢方治療は非常に有効ですし,副作用がほとんど有りませんので是非お試し頂きたいと思います。

更新:----/--/--

● 手足のしびれ感(ピリピリとした痛み)

 とくに四肢末端に現れる「ジビレ感」は,一般に血液循環障害によって発するものが最も多く見られます。中には病状がさらに進んで「シビレ麻痺感」を呈し,運動に支障をきたすものもあります。ジビレ感が一定の程度を維持している場合はそれほど心配はありませんが,とくに糖尿病などでは,この症状が足に現れやすく,足先から次第に上部に向けて広がるという傾向があり,重症の場合は血管が詰まって血液が循環しなくなり,壊疽を起こして足を切断しなければならなくなります。

更新:----/--/--

● 胃痛、腹痛

 胃痛や腹痛には様々なケースがあります。空腹時に痛む、食後に痛む、下利・便秘・嘔吐・膨満感・腹鳴りなどを伴う、あるいは急性・慢性のもの、精神的ストレスが原因のもの、胃や十二指の腸潰瘍を原因とするものなどです。
 胃痛や腹痛は,その大部分が日常の生活習慣(特に飲食)と関係があります。胃痛や腹痛をよく起こす場合は,服薬と同時に飲食面の改善が必要です。

 「胃腸病」中でも分けて述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/26

● ストレスによる胃腸症状

 心配事があると食欲が減退することは誰にでもありますが,強く緊張したり我慢し続けたりすると胃がキューッと痛くなったり,腹部にガスがたまって苦しくなったり,時には激しい腹痛を発し,同時に下痢や便秘を起こす場合もあります。更にまた,仕事などで強い精神的ストレスが長期間続いたために,胃や十二指腸に潰瘍が生じるケースもあります。
 中医では,ストレスによって発する胃腸症状は,ある種の肝機能異常と関係があると考えます。それは,中医理論で言うところの「肝脾不和(かんぴふわ)」あるいは「肝気犯胃(かんきはんい)」と呼ばれる病症です。つまり,肝と脾(胃腸)の調和がとれなくなって発生するということです。
 現代医学ではこの種の症状は治療しにくいようですが,漢方を含めた東洋医学では,この種の症状に合った治療法が確立しています(言わば得意分野とも言えます)。

 本記事は「胃腸病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の胃腸病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/26

● 排尿痛(急・慢性膀胱炎、無菌性膀胱炎、前立腺炎など)

 これは,急・慢性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎などで排尿時に痛みを感じる症状です。下腹部痛、下腹部の違和感、残尿感、血尿などを伴う場合もあります。
 一般に,急性のものは細菌などの感染によって発生し,排尿時に比較的強い痛みが現れ,また慢性化したものには無菌性のものも多く見られ,痛みが有ってもそれほど激しくありません。
 細菌の感染によるものは一般に抗生剤で治療できますが,慢性化して繰り返し発症する場合は,細菌性、無菌性を問わず漢方治療の方が効果的です。

 本記事は「泌尿器疾患」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の泌尿器疾患についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/26

● 下腹部の痛み

 下腹部に発する痛みは,一般に膀胱、子宮あるいは男性の前立腺などの病症で多く見られます。
 膀胱や前立腺に異常がある場合には,頻尿、排尿痛、残尿感、夜間多尿あるいは血尿などを伴うことがあります。また,子宮に異常がある場合は,子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣のう腫などが疑われ,月経異常の諸症状が現れやすくなります。
 前者は水(部分的に血)の病気,また後者は血の病気で当然ながら治療法は異なりますが,どちらも漢方で改善できます。

更新:2023/07/26

● 月経痛(生理痛、月経困難)

 下腹部には子宮があり,中医理論ではこの部位に「肝」の経絡が通過していますので,この付近に痛みがある場合には子宮の異常を考えるだけでなく,「肝」の働きにも問題があるということを考慮する必要があります。またこの部位には月経に関係なく,人によっては普段でも血(おけつ:血の道症、血行障害)による疼痛(刺すような痛みが多いようです)が見られることがあります。月経痛は血が原因で発生することの多い代表的な病症です。
 月経時に子宮内に停滞した血(黒ずんだ,或いは生のレバー状に固まった古血の粒や塊)が排出され始めると次第に痛みが軽減しますが,一般にこの排出が終わるまで痛みは続きます。
 月経痛の程度や血の量には個人差があり,中には痛みだけで古血(ふるち)の塊が見られないケースもあります。 また,痛みの発生は冷えとも関係がありますので,日頃から月経痛の激しい方は,少なくとも月経の5〜7日前からは身体を冷やさないように心掛ける必要があります。
 何れにしましても,月経痛は子宮に異常があることを知らせる一種の信号ですし,子宮筋腫や子宮内膜症の原因にもなりますので,特に血が原因で発する月経痛は早めに治すべきでしょう。また,私共の経験では,コーヒーをよく飲まれる方に,この血症状が多く見られるようです。コーヒーの過飲(飲み過ぎ)や常飲(毎日の飲用)は血を発生する原因の一つと考えられますので,念のためご注意を頂きたいです。

 本記事は「婦人病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の婦人病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/27

● 月経前の乳房の脹りと痛み

 これは,月経が近づくと乳房や脇腹が強く脹って痛むという症状です。現代では月経前症候群(PMS)に含まれる症状の一つですが,東洋医学にはその病症名こそ無いものの,太古の時代から治療が行われてきました。
 中には,触れることもできないほど強く痛む場合や,“痼(しこ)り”ができることもあります。
 この症状が現れる方は,月経が近づくとイライラして怒りっぽくなり(普段もその傾向が見られる),長時間我慢し続けたり緊張し続けるなどの状況に遭うと腹部にガスがたまりやすく,腹痛、下痢、便秘などを併発している場合が多いです。
 専門的に,発症のしやすさは漢方で言う体質傾向によるものが多いようです。精神面の起伏がやや大きく,いわゆる自律神経が乱れやすい方でして,普段でも情緒不安定に陥りやすく,常にどこか身体の不調を訴える傾向があります(中医理論ではこれを主に「肝」の病症と考えます)。
 治療の際には,やはり全身的な視野で病状を捉え,個々人の違いに基づいて必要な薬を選定しなければなりません。
 この種の症状は,“乳腺炎(乳腺症)”や“乳癌”などに発展する可能性が考えられますので,早めの治療開始をお勧めします。

 本記事は「婦人病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の婦人病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/27


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