胃腸病は最も多く見られる病症の一つです
一般に,胃腸の弱い方は体力に乏しく,抵抗力も低い傾向があります。
胃腸病は最も多くの症状を現すと言っても過言ではありませんし,他の臓腑(内臓や器官)の働きに大きく影響して複雑な病態を形成しやすい疾患であるとも言えます。
ですから,暴飲暴食などの不摂生により胃腸に負担をかけてその働きを弱めたり乱したりすることは慎まなければなりませんし,特に生まれつき胃腸の弱い人は日頃から常にこのことを念頭に置く必要があります。
心配事があると食欲が減退することは誰にでもありますが,強く緊張したり我慢し続けたりすると胃がキューッと痛くなったり,腹部にガスがたまって苦しくなったり,時には激しい腹痛を発し,同時に下痢や便秘を起こす場合もあります。更にまた,仕事などで強い精神的ストレスが長期間続いたために,胃や十二指腸に潰瘍が生じるケースもあります。
中医では,ストレスによって発する胃腸症状は,ある種の肝機能異常と関係があると考えます。それは,中医理論で言うところの「肝脾不和(かんぴふわ)」あるいは「肝気犯胃(かんきはんい)」と呼ばれる病症です。つまり,肝と脾(胃腸)の調和がとれなくなって発生するということです。
現代医学ではこの種の症状は治療しにくいようですが,漢方を含めた東洋医学では,この種の症状に合った治療法が確立しています(言わば得意分野とも言えます)。
更新:2023/07/26
胃痛(みぞおちの痛み)は胃腸病として最も多く見られる症状の一つです。これは中医では「胃寒」、「胃熱」、「胃気滞」と言われる病症で多く見られますが,これらはそれぞれ胃が冷えたり、胃に熱がこもったり、胃にガスが停滞するなどの場合に発する症状です。
また人により,食後に痛む、空腹時に痛む、精神的ストレスを受けると痛む、腹部全体が痛むなどの違いがあります。治療時はこれらの症状特徴に従ってお薬を使い分ける必要があります。
更新:2023/08/09
これは胃液の分泌過剰が原因でして,漢方では「胃寒」と「胃熱」の病症に多く見られる症状です。
どちらの場合にも食べ過ぎや飲み過ぎに注意しなければなりません。
慢性的に胃炎や胃潰瘍などを発症している方に多く見られ,“みぞおちの痛み、胃痛、胃部膨満感、吐き気、めまい”などを伴うケースも多いです。
更新:2023/08/09
慢性化した食欲不振の原因は,一般には胃腸の機能低下(消化・吸収力の衰弱)が考えられます。
その中でも,普段から好物だった食べ物に対しても長期に渡って食欲を示さない場合は比較的重症と言えましょう。
また,そのために体重の減少も見られる場合は栄養補給を兼ねた治療が必要です。
更新:2023/08/09
漢方では,嘔吐(おうと:吐き気があってムカムカし,飲食物を吐き出す)を胃の病症としてとらえ,この病症を「胃気逆(い・きぎゃく)」と呼んでいます。
急性の場合は過食や食あたりなどによる一時的な症状であるため大きな問題はありませんが,慢性化した場合や繰り返し発する嘔吐の場合は,原因を確かめた上でしっかりと治療する必要があります。
更新:2023/08/09
近年,慢性化した下痢症状でお悩みの方が多く見られます。
中医では「脾胃(ひい:ここでは主に胃腸の働き)」の機能低下や機能失調によるものと考えます。
慢性化した場合は栄養分の吸収に支障を来たしますので,体重が減少し、体力が低下して疲労・倦怠しやすくなり,抵抗力が低下して風邪を引きやすくなります。
多くはある程度の長期治療が必要です。
更新:2023/08/09
便秘で悩む方は年齢や性別に関係なく多いものです。便秘には“胃腸の冷え、胃腸に熱がこもる、胃腸や腹部の筋肉が強張る、胃腸に力が無い、胃腸内の潤い不足”などの様々な原因があります。
また,“腹部膨満感、腹痛、吐き気、口臭、残便感(排便後スッキリしない)”などを伴うケースも多く見られます。
さらに,便そのものについても,細く長い便、兎糞状便(コロコロした硬い便)、切れ切れの軟便、黒ずんだ便(血便など)など多種多様です。
排便に苦痛を伴うものはやはり一種の病気ですから,治療すべきでしょう。
治療にはどの通じ薬でもよいということはなく,体質や症状特徴に適合したお薬を選ぶ必要があります。
カゼは万病の元と言われますが,便秘も万病の元です(万病=多くの病気)。
更新:2023/08/09
一般に動悸(どうき)の多くは胸部(心臓部)に感じますが,ある種の病症では胃部や臍(へそ)のあたりにも動悸を強く感じる場合があります。
中には,臍のあたりから動悸が起こり,それが胃部を通過して心臓に突き当たるように感じるといった特徴を有する例もあります。これは「気の衝逆(しょうぎゃく)」と呼ばれ,比較的強い不安感や不眠などの神経症状を伴います(現代病ではパニック障害に現れやすい代表的な症状特徴の一つです)。
※胃腸でトラブルが発生した際にも現れることがあるためこのページに並べてありますが,この場合は心・血管疾患として腹部大動脈の異常が考えられますので,治療ではそのことも念頭に置く必要があります。
どちらにしましても,重症でなければ漢方でも改善できる範囲が比較的大きい病症です。
更新:2023/08/09
実際には,ガスの代謝が乱れて胃にガスが停滞した結果の症状です。
これは「胃気滞(い・きたい)」や「胃気逆(い・きぎゃく)」と呼ばれる病症で現れる症状ですが,性質として大きくは“寒”と“熱”とに分かれますし,その他の特徴も考慮した上でお薬を使い分ける必要があります(やはり,みぞおちや腹部の膨満感を伴うことが多いです)。
更新:2023/08/09
「胃内停水」という言葉のとおり,胃内に水分が停滞して発生する病症です。胃腸からの水分吸収が悪い場合や,日頃から水分を摂り過ぎる傾向がある方に現れる症状の一つです。
その特徴は,身体を動かした時などに発生する振水音(しんすいおん:胃部のチャブチャブ音)です。“希薄物の嘔吐、胃液が口中に上がる、食欲不振、胃もたれ、胃部(みぞおち)の動悸、尿が少ない、むくみ、めまい、頭痛・頭重、下痢、背部痛、腰痛、体が重く怠い、乗り物酔いしやすい”などを伴うことが多いです。
日頃から冷たい飲み物、冷えた食品、なま物などの摂取量が多い方に現れやすい症状です。また,この病症は「メニエール病」でもよく見られます。
本記事は「水毒症状」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の水毒症状についても述べておりますので併せてご覧ください。
更新:2023/08/09
お腹にガスがたまり、脹って苦しく、時に痛みを発します。
飲食の不摂生の他,胃腸が冷えやすい方や精神的ストレスを受けやすい方に多く現れる傾向があります。
イライラしたり、緊張が続いたり、我慢し続けることが切っ掛けとなって悪化しやすい特徴があります。
特に女性の場合は「肝」の働きの乱れが関わっていることが多く,月経前に乳房が脹って痛くなったり,月経痛なども併発しやすくなります。
更新:2023/08/09
今発生している胃腸病の現れや兆候として,舌の表面に白い苔(こけ)状のものが厚く生じる場合があります。漢方ではこの苔状のものを「舌苔(ぜつたい)」と呼んでいます。
これは主に胃腸に何らかの負担が掛かっていることを知らせるものですから,その他の症状や日常の飲食の習慣も含めて治療を考える必要があります。
※舌苔は薄く確認できる程度が望ましいです。反対に,全く確認できない場合は胃腸機能の衰弱を意味しますので,力を補う治療が必要となります。
更新:2023/08/09
緊張が続いたり、我慢し続けたりするといつも胃腸の具合が悪くなり,腹が脹ってガスがたまりやすく,時に腹痛や下痢を起こすケースがあります。特に学生さんなどで,テストが近づくたびに胃腸の調子が悪くなって下痢を起こすというご相談が多いです。また,仕事上でイライラしたり緊張したりすると,いつもこの症状に悩まされるという場合もあります。現代医学の「過敏性腸症候群」の特徴と重なる点が大きいです。
中医では,ストレスによって発する胃腸症状はある種の「肝」の機能失調が関与していると考えています。「肝脾不和(かんぴふわ)」や「肝気犯胃(かんきはんい)」などと呼ばれる病症がそれです。
更新:2023/08/09
唾液の分泌が必要以上に多いのは,胃腸が冷えている(機能低下している)場合に多く見られる現象です。中医ではこの病症のことを「裏寒(りかん)」または「脾胃虚寒(ひい・きょかん)」また或いは「痰飲病(たんいんびょう)」と呼んでいます。
人によっては“痰がからむ、吐き気、嘔吐、胃痛、軟便・下痢、めまい”などの症状を伴いやすい他,“乗り物酔いをしやすい”などの特徴や“頭痛・頭重”を伴うケースも見られます。
一種の水毒によって生じる症状でして,前述の「胃内停水」とも関係があります。
水分や水分を過分に含む食品を多く摂った後や,日頃から水分を摂り過ぎる傾向があり,腹部が冷えやすい方に現れやすい症状です。
本記事は「水毒症状」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の水毒症状についても述べておりますので併せてご覧ください。
更新:2023/08/09
その名のとおり,本病は胃や十二指腸に潰瘍が発生するという病気です。潰瘍は粘膜が炎症を起こしてえぐれたような傷ができる病症です。飲食の不摂生によって発するものもありますが,現在ではむしろ精神的ストレスによって発生するケースが多いようです(「ストレス性潰瘍」と呼ばれるのがそれです)。強いストレスによって胃腸の血液循環が阻まれ,そこに鬱血が起こり,継いで出血を起こして傷ができ,その傷が大きくなって潰瘍が形成されます。重症の場合は,胃壁に穴があくというケースもあります。
手術を必要とする重症の潰瘍でなければ,漢方で充分に治療できます。
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本病は,胃の位置が本来の位置より下垂(下方に垂れ下がること)するという病症です。この病症をお持ちの方は,日頃から胃腸の働きが弱く,消化吸収の働きが低下気味で,次第に痩せていく傾向があります。またこのような方は,同時に他の臓器・器官(例えば,腸、腎臓、子宮など)の下垂はもちろんのこと,低血圧症、体質虚弱、体力減退、抵抗力低下などを伴いやすいです。“胃腸は元気の根源”と言われますから,治療の重点は当然“胃腸機能の強化”ということになります。一種の体質的な病症でもありますので,ある程度の長期治療が必要です。
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概ね胃炎のことでして,胃の粘膜がただれて炎症を起こす病気です。胃炎の発病には,体質的要因、飲食の習慣、精神的ストレスなどの非常に多くの原因が関与していますので,それらの原因に適合した治療を行わなければなりません。
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簡単に申しますと,胃の筋肉がケイレンして痛みを発する病気です。この病症は,一般には胃だけの原因で起こることはむしろ少なく,ある種の「肝」の機能異常を介して発することが多いようです。漢方医学で「肝気犯胃(かんきはんい)」と称される病症がそれです。「肝」の機能異常が胃の働きに影響して,胃の筋肉を強く緊張(つまりケイレン)させます。これも一種の自律神経失調による病症です。
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どこででも(特に他人を意識すると)“腹がグーグー鳴る”という,いわゆる“腹鳴り”の症状で悩んでいらっしゃる方がよくみられます。時には“チョロチョロ”と水の流れるような音を発することもあります。これらの直接の原因は胃腸内にガスや余剰の水分が停滞することにあります。多くの場合,胃腸症状の発生はその方の飲食面に原因があると考えられています(一種の「生活習慣病」とも言えます)。また,この“腹鳴り”の症状を発する時は,必ずと言ってよいほど他の胃腸症状を伴っているものです。それは例えば“胃の膨満感、腹部膨満感、腹にガスが溜まりやすい、胃のもたれ感、吐き気、軟便・下痢、下痢便秘交互、胃痛・腹痛、腹部不快感”などの症状です。
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直腸が肛門の外に脱出するという病症です。とくに排便時に起こりやすい傾向があります。脱肛時に押し込むと元に戻るもの、脱出したままのもの、激しい痛みを伴うものなど人によって症状の程度が異なります。胃下垂などの内臓下垂を起こしている人に現れやすい病症です。体力がなく、抵抗力もなく、疲れやすいという方に多く見られます。
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腹部膨満感に腹痛の症状が伴うことを特徴とする病症です。緊張し続けたり、我慢し続けたり、長時間じっとしていたりする時などに発生しやすい傾向があります。精神的ストレスによって現れやすい症状とも言えます。この症状を発する場合は,人によっては同時に下痢を起こすこともあります。漢方医学では,この病症を「肝」と「胃」のバランスが乱れたために発するものと考えます。また,一種の自律神経失調症状とも言えます。
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口臭は多種の原因によって発生します。主なものは,先ず直接的な原因として口中の炎症が考えられます。例えば,口内炎、歯肉炎、歯槽膿漏、口中の細菌の増殖などがそれです。間接的なものとしては,肺の疾患(ある種の呼吸器疾患、化膿性の肺疾患など)や胃腸疾患(便秘、消化不良、過食など)が挙げられます。原因によって治療法は大きく異なりますが,これらの中で最も多く見られるものは最後の胃腸疾患です。このケースでは舌苔(ぜつたい:舌の表面に現れる白い苔状のもの)が附着しています。これは主に飲食したものが胃の中に長時間停滞したときに現れやすい現象でして,漢方医学ではこの種の病理を「胃内停水(いないていすい)」と称し,舌苔の状態を観察することは胃腸の病症を知る上で非常に重要な事項と言えます。
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排便してもすっきりせず,その後もなお便が残っている感じがし,肛門部が重く感じると言った一種の病症です。漢方医学ではこの病症を「裏急後重(りきゅうこうじゅう)」と呼んでいます。この症状を発するときは便は必ずしも硬くなく,むしろ軟便・下痢を呈することが多いようです。この症状は漢方医学で言うところの「脾胃気滞証(ひい・きたいしょう)」という病症で多く見られます。時には胃腸にガスがたまって腹が脹り,排便時はガスだけが出て便が出ず,まだ便が残っているような感じはするが排便できず,いつまでも残便感だけが残ってすっきりしないという症状です。
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この病症は,一般には胃腸が冷える(機能低下する)ことによって発生します。お腹の冷えと共に“胃痛・腹痛、下痢、便秘”などの胃腸症状を伴うのが普通です。胃腸の冷えのことを漢方医学では「脾胃虚寒証(ひい・きょかんしょう)」と呼んでいます。症状が現れたときは温かい手をお腹に当てたり,カイロや湯たんぽなどを当てたりすると気持ちよく感じます。体質的な要因によって現れることが多いようです。このような方は,日頃から身体を冷やしたりお腹を冷やしたりすることに対して特に注意しなければなりません。
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この病症のことを漢方医学では「完穀下痢(かんこくげり)」と呼んでいます。胃腸の消化機能が極度に低下して食べた物が完全に消化されず,咀嚼したそのままの形で便となって排泄されるものでして,下痢を発するときに腹痛を伴うこともあります。この病症が長引きますと,身体への栄養補給ができなくなりますので,放っておきますと体力、抵抗力共に極度に低下しますので,できるだけ早く治療しなければなりません。
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便が硬いことは身体的にも精神的にも種々の悪影響をもたらします。一口に“便が硬い”と言いましても,その状況は人によって異なります。例えば,何日も便秘が続いたために便が硬くなって出にくくなるというものから,毎日便通はあるが便が硬くなったまま棒状に太くつながって出るもの,便が兎糞状にコロコロした状態で出るもの,またそれらのために肛門に負担が掛かって“切れ痔”を起こして出血を生じるもの,更にこれらに腹痛や腹脹りを伴うものなど,人によって実に様々な状況を呈します。また,市販の便秘薬では根本的な改善が見込めないケースも多いようです。適切な治療のためには,全身的な視野でこの病状を捉えて,症状特徴に適合したお薬を用いなければなりません。単に“便が硬い”というだけでは,それに適合したお薬を選ぶための充分な情報とは言えません。漢方では特にこの部分(全身状態・特徴の把握)を重視しますので,理想的な治療医学と言えます。
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慢性的に胃の粘膜に炎症を起こしている病症です。喫煙や飲酒が多い方によく見られる病症です。軽い場合は自力の快復を見込めるためそれほど気にすることはありませんが,痛みが頻繁に現れたり,下痢や便秘を併発したり,血便を伴うような場合は,比較的重い胃炎(あるいは胃潰瘍)に発展している可能性がありますので,きちんと治療しなければなりません。また,本病は「生活習慣病」の一種でして,多くは精神的ストレスや飲食の習慣などの要因でも現れますので,これらに問題がある場合は一緒に改善する必要があります。
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本症のことを漢方医学では「心下痞(しんげ・ひ)」あるいは「心下痞痛(しんげ・ひつう)」と呼んでいます。みぞおちは通常では胃の上部を指し,心臓に近い部位に位置します。この部位を押さえたときに圧迫感が有って苦しく感じ,あるいは停滞感や吐き気を覚えるものは,胃に異常があります。つまり,胃の中に停滞物があることを意味します。また,押さえたときにハッキリとした痛みを呈するものは,炎症を起こしているケースが多く,単に胃腸症状だけでなく,心臓にも負担がかかるため,“安眠障害、不安感”などの神経症状も現れやすくなります。
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下痢までには至らず軟便を繰り返す傾向のある方は意外に多いものです。これには大きく分けて二つの原因が考えられます(ただし,漢方医学では病原菌の有無は問題にしません)。一つ目は,この症状が有っても元気な方です。一般的には消化機能そのものには問題が見られません。この原因は水分の摂り過ぎにあります。水分を多く摂取することによって腸からの水分吸収が追いつかず,残った水分が便といっしょに排泄されるために軟便となってしまいます。時には下痢に至ることもあります。水分の摂り過ぎに注意することが治療の大きな助けとなります。
二つ目は,その原因が胃腸の消化吸収機能の低下にある場合です。このケースでは常に元気がない、疲れやすい、体力がない、身体が重くだるい、風邪引きやすいなどと言った症状を訴えるものです。“胃腸は元気の根源”ですから,胃腸が弱ったためにこのような症状が現れるようになるのです。勿論,軟便だけでなく,下痢を起こすケースも多く見られます。この種のものはやはり治療すべきでしょう。漢方治療が最適です。
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漢方医学では,“しゃっくり”のことを呃逆(やくぎゃく)と称し,ゲップや嘔吐と同様に胃の病症として捉えており,専門的には「胃気逆証(い・きぎゃくしょう)」と呼んでいます。胃には飲食したものを下方へ運んでいくという働きがあります。しかし,この胃の働きが何らかの影響によって下降しなくなった際にこの「胃気逆証」という病症を発することがあります。例えば,食事中に咽を詰まらせた場合に発する“しゃっくり”は,胃の下降の働きが一時的に妨げられて胃の気逆を起こして現れるものですが,胃や食道の手術後に現れやすい“しゃっくり”も同様の病理によって引き起こされるケースが多いです。この他,胃の冷えが原因となり“頭痛、吐き気”を伴う例もあります。いずれも漢方で改善できます。
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右上腹部は肝臓と胆嚢の部位でして,肝胆の機能異常や急・慢性の肝炎や胆嚢炎の際に現れやすい症状です。手術を必要とするほど重症のものでなければ,漢方治療のほうがむしろ理想的に治療できると考えられます。また仮に手術後であっても,再発防止の目的で漢方薬を使用する方法は大変意義のあることです。また,この病症には“胃腸にガスが溜まりやすい”或いは“下痢便秘交互”などの「過敏性脹症候群」と呼ばれるような胃腸病を伴うことも多々ありますので,治療時は全身的な視野で病症を判断することが大切です。
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この症状の発生には個人差がありますが,一般には大腸の“脾湾曲部(ひわんきょくぶ)”にガスが150ml以上溜まると,この部位に痛みを発するとされています。この時は同時に胃も含めて腹部全体も脹って苦しくなり,ゲップや排ガスによって一時的に楽になりますが,出ないときは腹部全体が脹って痛みを発するようになります。腸の働きが低下することが第一の原因と言われていますが,精神的ストレスが原因になって発することが最も多いようです。この病症を放っておきますと,この部分が袋状に大きくふくらんで,憩室症(けいしつしょう)に至り,その中に食べた物が溜まって炎症を引き起こすことがあるとも言われています。また,この病症ではその約5%が狭心症に似た症状を呈すると報告されています。「過敏性腸症候群」と言われる病症にも多く見られる症状です。憩室が生じてしまった後の漢方治療は難しいため,やはり早期の治療が肝要です。
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「過敏性脹症候群」と同様の原因によって発することの多い症状です。また,肝臓病などに見られる肝臓と脾臓が同時に腫れる病気(すなわち「肝脾腫大」)の場合にもこの症状が現れます。慢性肝炎などの場合に肝機能異常の影響が脾臓の機能に波及し,結果として肝臓と脾臓の二つが同時に病症を発したものと考えられます。これも漢方で治療できます。
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この症状はある種の胃腸病に見られる症状でして,漢方医学では「痰飲病(たんいんびょう)」或いは「痰湿証(たんしつしょう)」などと呼ばれる病症に属します。胃の中に余剰の水分が停滞している場合に現れやすい傾向があります。日頃から水分、甘い物、脂っこい物などを多く摂る傾向がある方によく見られる症状でして,“痰(たん)が発生しやすく,舌苔(ぜつたい:舌の表面に現れる白い苔状のもの)が厚い”という症状特徴を伴いやすいです。
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漢方医学ではこの症状を“呑酸(どんさん)”と呼びます。ゲップをしたときなどに,やや薄めの胃液がのど元や口中まで上がり,またそれを飲み込むというのが特徴です。胃が冷えて,胃の中に余剰の“水湿(水分)”が停滞している場合(上記の「胃内停水」)に現れやすい症状です。日頃から水分や水分を多く含む食品,あるいは冷たい物や生ものを多く摂る方に現れやすい傾向があります。
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