季節の病気
季節毎に発症または悪化しやすい病気について

■ 冷房病(真夏の冷房・冷飲にご注意を!)

 真夏の暑さには冷房設備は欠かせないものですし,一面ではこのおかげで私達はとても快適に過ごせます。しかし反面,この冷房によって体の調子を狂わせてしまうというケースもまた多く見られます。とくに日頃から体力がなく,寒がりで冷え症の方が冷房のきいた職場で長時間あるいは一日中過ごすのはとてもつらいことです。「冷房病」という病気があるほどですから決して軽く考えてはいけません。
 冷房による病気は,漢方医学では「外感風寒」の病症と考えています。つまり,冷たい風に当たって発生する病症というわけです。この風寒の病邪が体の表面から侵入して体表の陽気(体の表面を温める機能、一種の抵抗力のこと)が抑えられますので,悪寒(寒気)を発し、時には熱っぽくなってカゼの症状が現れ、またカゼの病状が抜け切らず“頭痛、頭重、寒気、関節痛、だるさ”などに悩まされます。とくに女性にはこの冷気の影響を受けて月経異常や自律神経の失調を起こしやすい傾向があります。「冷房病」はみなこのようにして発生します。さらにまた,この冷気が身体の内部(主に胃腸)にまで入り込んでしまうケースもあり,この場合は胃腸が冷えたために下痢や腹痛などを起こすようになります。暑さで寝苦しい際にお腹を出したまま寝冷えし,お腹が冷えて発する症状もこれと同様です。また暑さのために,つい冷たい飲み物や果物などを多く摂るようになりますので,この影響で上述の胃腸症状を発するものもあります。さらにまた,冷房に当たりながら冷たいビールなどを飲むことによっても“寒気、頭痛、腹痛、吐き気、下痢”などが生じやすくなります。いずれも身体を過剰に冷やしたために発生する症状です。これらも漢方で充分に治療できます。

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■ 夏の胃腸症状と夏バテ

 気温が高くなる真夏はどうしても普段より冷たい飲みものの量が増え,あるいは夜お腹を出したまま寝るなどによってお腹を冷してしまい,そのため脾胃を中心とする消化器官の働きが弱って,種々の胃腸症状を起こしやすくなります。“夏バテ”によく見られる症状は次のようなものです。「胃痛・腹痛・下痢・嘔吐」、その他「頭痛・頭重・発熱・体が重くだるい」などの症状も現れやすくなります。
 冷たい物をとり過ぎますと,胃腸の陽気が抑えられ,消化吸収の機能が弱って飲食物が胃腸内に停滞するようになります。胃に停滞しますと嘔吐を起こし,腸に停滞しますと下痢になります。胃腸にものがたまりますと,腹が脹る・胃痛・腹痛などを発しやすくなります。
 とくに,夏に胃腸が冷えて激しい嘔吐・下痢を引き起こす病症を“霍乱(かくらん)”と呼んでいます。
 夏の胃腸症状によく使われる漢方薬には香正気散・五苓散・胃苓湯・人参湯などがあります。これらを使用する時は,いずれの場合も下痢・嘔吐の症状が見られます。香正気散・五苓散はどちらも比較的急性期の症状に使用され,二者の使用上の区別する点は,五苓散や胃苓湯を使用するケースには口渇・小便不利・水分を飲みたがるなどの症状が見られることです。人参湯を用いるケースでは一般に下痢症状が慢性化して体力が低下し、未消化便があり、食欲不振や体重減少も見られます。治療時は,症状の種類や程度によってこれらを併用することもあります。使用時の判断には,やはり専門知識が必要です。
 “胃腸は元気のもと”ですから,胃腸が弱りますと身体全体が弱ってしまいます。また,食中毒にもかかりやすくなります。夏はとくに胃腸を大切にしましょう。

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■ 夏の身体のだるさ

 暑い夏は発汗が盛んになり,水分の補給が必要になる季節です。そして,氷を入れて冷した水やお茶、清涼飲料水やビールがとてもおいしく感じる季節です。発汗過剰は“夏バテ”の一つの原因と言えますが,それ以上にこの時期は胃腸の弱い方にとっては油断できない季節でもあります。
 暑い暑いと言って冷たい飲み物をとり過ぎますと,脾胃(消化器)の機能が弱り,摂取した水分を体内に吸収することができなくなって,そのまま排泄されます。これが下痢です。
 漢方医学には「脾は湿をにくむ」という理論があり,「脾」はとくに過剰の水分を嫌う性質があり,水分を多く摂り過ぎますとこれを吸収・代謝させる働きが低下してしまいます。また,それと同時に過剰の水分が体内に「湿邪」となって残留し,後に様々な全身症状を発生させます。「体が重くてだるい・夏カゼが抜けない・微熱がつづく・食欲がない・吐き気・腹部膨満感・痰(たん)・頭痛頭重・口が粘る」などの症状がそれです。これにさらに冷房で体を冷すなどが重なりますと,これらの症状が益々強く現れるようになります。日本は海に囲まれた島国でもともと湿度が高く,そのため夏は高温多湿となり,このことだけでも湿気の影響を受け易くなっているところへ過剰の水分を摂るわけですから,体内が湿気の病邪(すなわち「湿邪」)で一杯になってしまいます。湿気は水分の一種であり,これが体内に停滞しますと体をとても重くだるくさせます。これがすなわち,“夏バテ”です。
 湿邪は去りにくく,身体にまとわり着いてなかなか除去しにくいと言われています。また湿邪は痰(たん)や水腫(むくみ)の発生の原因にもなります。
 夏は過剰の水分摂取や、糖分・濃いお茶・なま物など,からだに湿邪を生むような飲食物はできるだけ控えるようにしましょう。そして,「湿」を除いて体をスッキリさせましょう。

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■ 夏に悪化しやすいアトピー性皮膚炎

 皮膚病(とくにアトピー性皮膚炎)は,鼻病や呼吸器疾患と同様に,気候が乾燥する秋季に悪化する傾向があるのですが,「アトピー性皮膚炎」の場合にも暑熱の激しいこの夏季に悪化しやすいものがあります。炎症部分が“熱をもって赤くなり,分泌物(汁)が出る”などの状況を呈しているものがそれです。“強い暑熱や発汗による刺激によって炎症が増悪し,あるいは暑いために水分を過剰に摂取することによって患部からの分泌物が増える”などの要因が考えられます。

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■ 猛暑の後遺症

 夏の暑さは心臓に負担がかかります。気温が上昇しますと発汗が多くなりますが、実は発汗は心臓にとってとても負担になります。漢方医学(中医学)では「心は血をつかさどり,汗は則ち血の余なり。汗は心の液なり」という理論があります。汗が出過ぎますと人体の陽気も消失してとても体力が低下します。これが夏バテと言われる現象です。そこで水分の補給が必要になるのですが,実はこの水分の取り方に問題があるのです。
 ある意味で消化機能全体を調節していると言ってよいほど重要な臓腑に「脾(ひ:主に胃腸を指す)」があります。脾は栄養分を消化吸収する上で非常に重要な役割を果たしているのですが,この脾には「湿気を嫌う」という性質があり,暑いからといってガブガブと冷たい飲み物を取り過ぎますと,この脾の働きが弱って,摂取した水分の代謝が悪くなり,体内に湿気が残ってしまいます。これを「痰湿」といいます)。
 脾が弱りますと肺も弱ります(これを「脾肺両虚」といいます)。秋は肺に負担のかかる季節です。体内にたまった湿気は濃縮されて痰となり肺の機能を阻害します。こうして発生するのが「気管支ぜんそく・呼吸困難・咳(せき)や、クシャミ・鼻水・鼻づまりなどの鼻炎症状」なのです。
 秋は必ずと言って良いほど「肺」と「鼻」の症状が多く発生します。こ注意を!

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■ 秋に発病しやすい病気と治療

 秋は季節の変わり目で,夏の暑さと冬の寒さの入り混じった時期であり,気候の変動が比較的激しく,人体にはその影響を受けやすい傾向があります。とくにこの季節特有の空気の乾燥(「秋燥」といいます)は,種々の病症をもたらします。肺には乾燥を嫌う性質があり,呼吸を介して乾燥した空気に直接触れる「肺」はとくにその影響を強く受けることになります。体質的に肺の働きの弱い人や,呼吸器系の病症(例えば,気管支ぜんそく・慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎など)を発しやすい人にはつらい季節と言えます。また,肺は湿気の影響も受けやすく,暑い夏に摂りすぎた過剰の水分が体内に停滞し,それが痰に変化して肺に留まり,これが原因となって呼吸機能が妨げられ,その結果,痰を伴う頑固な咳やぜんそくなどを引き起こすこともあります。さらにまた,秋の朝夕の冷気も,肺の機能を低下させます。これはとくに気管支喘息や慢性鼻炎などに見られる症状ですが,冷気を吸い込んだときなどに一瞬軽い呼吸困難に陥ってゼーゼー(喘鳴)を発するというものです。これにクシャミや鼻水・鼻づまりなどの症状を伴うものもあります。この季節にこれらの症状を発しやすい人は,日頃から冷たい物や水分の摂り過ぎに特に注意しなければなりません。治療時は症状の特徴にもとづいて薬を使い分けなければなりません。喘息時の痰の色や鼻炎のときの鼻汁の色は漢方処方を決定する上で重要な意味を持ちます。例えば,痰が水っぽいものや鼻汁が薄い水のようなものは「肺寒」と称して肺が冷えていることを示し,痰や鼻汁が黄色のものは「肺熱」と称して肺に熱がこもり,炎症を起こしていることを示します。また,さらに気管支喘息の治療では,痰の色合いに注意するだけでなく,その人が日頃から汗の出にくい体質か,汗の出やすい体質かによっても薬を使い分ける必要があります。このように体質の違いや症状特徴にもとづいて的確に薬を運用することは,漢方治療では最も重要なことなのです。

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■ 肺の病気とその症状

 肺の病気と言えばすぐ肺結核や肺ガンを連想しますが,そのような重症な病気でなくても,肺の病症には他にも色々とあります。
 漢方医学には「肺は呼吸を生る」「肺気は鼻に通じる」「皮膚は肺に属す」などの理論があります。つまり,漢方医学では呼吸器疾患・鼻の病気・皮膚病などの症状はみな肺の病症としてとらえているのです。
 肺は皮膚と同様に直接外風と触れていますので,気候の変化の影響を強く受けます。そのため,肺が弱ければ皮膚の抵抗力も弱くなり,外界からのいろいろな病邪に侵入されやすくなります。
 例えば,季節の変わり目などの気温が急激に下がったときに現れる「鼻炎」や空気が乾燥し始める秋に多く現れる「ゼンソクの発作」、春・夏・秋に悪化しやすいアトピー性皮膚炎」などはみな肺と関係があります。そのほか,一人で「ゼンソク」・「アレルギー性鼻炎」・「アトピー性皮膚炎」などを同時に持っている方もけっこう多く見受けられます。原因はやはり肺にあるのでして,肺の機能を強くしませんと治療は困難です。
 肺の働きを強くするためには消化器系統(とくに脾)と腎の働きを強くしなければなりません。実はこの辺のところが難しいです。現代医学では一般にゼンソクには咳止めの薬を,鼻炎には抗ヒスタミン剤を,皮膚炎にはカユミ止めの薬を使うなどの対症療法を主にしますが,漢方療法では必ず脾や腎との関係をも重視して治療を進めます。脾や腎に対する同時治療は,つらい症状を取り除くだけでなく根本治療にもなります。また,副作用の少ないことも漢方療法の大きな特徴です。ですから,慢性病・体質病には漢方薬が適しています。

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■ カゼをひきやすい

 「カゼを引きやすい・しょっちゅうカゼを引いている・カゼの症状がいつまでも取れない」という人をよく見掛けます。何故このような事が起こるのでしょうか。
 カゼは風邪(ふうじゃ)とも書き称され,外部から身体に侵入する病邪の一種です。カゼを引くということは,身体がこの風邪によって傷つけ犯されたことを意味します。一般に,体力のある人にはこの風邪をはね返す力がありますのでカゼにかかりにくく,またかかっても治りやすいのですが,体力の無い人は病邪に対する抵抗力が弱いためすぐに風邪に侵入されてしまいます。
 風邪は外気に直接触れている皮膚や粘膜から侵入しますので,カゼを引きやすい人は皮膚や粘膜の弱い人ということになります。
 漢方医学には「皮膚は肺に属す」という理論があり,皮膚や粘膜が弱い人は「肺」の働きの弱い人と考えられているのです。
 以上のことから,カゼを引かないようにするには,まず皮膚や粘膜の抵抗力を強くし,肺を強化させることが必要になります。
 漢方医学では「肺と脾は母子関係にある」と理論づけています。肺が子供で脾が母親というわけです。
 丈夫な子供を生むためには母親が丈夫でなければなりません。このことはつまり,肺を強くするには脾を強くしなければならないということを意味しています。脾は消化器官を代表する臓でして,胃腸の弱い人はたいてい脾も弱いという傾向があります。
 ですから,カゼを引きやすい人は肺を強くするだけでなく,脾を強化して胃腸の働き全体を丈夫にしなければならないと言えます。
 以上のことは「カゼ」に限ったことではなく,肺の病症である「ぜんそく・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎」などについても言えることです。治療には漢方薬が最も適しています。

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■ 「咳」が長引いて治らない・・・

 咳(せき)の症状が長く続いて治らないという方をよく見掛けます。中には治療を受けると,一時的には良くなるが,またすぐ再発するというものもあります。しかし,症状特徴から見て呼吸困難を伴うような「喘息(ゼンソク)」とは異なります。
 漢方医学には「肺は呼吸をつかさどる」という理論があり,肺の病症としてとらえています。つまり,「咳」は肺の呼吸機能が何らかの原因で正常に働くことができなくなって発する一種の呼吸器症状ということです。
 単に咳といいましても,その症状には個人差があります。よく見られる症状特徴は次のようなものです。
@ 咳と同時に多量の水のような薄い痰を伴うもの。(鼻水などの鼻炎を伴っている人が多いようです。汗が出やすい人と出にくい人では使用するお薬が異なります。)
A 咳と同時に黄色の痰を伴い,口が渇くもの。
B 痰がないか,少量の痰があって切れにくく,口が渇き,カラ咳を多く発するもの。
C 痰が長引いて体力が低下し,肺だけでなく胃腸の消化機能も低下して力のない咳を発し,食欲減退・軟便下痢・体がだるい・疲れやすい・しゃべるのがおっくうなどの症状を現すもの。
 咳が長引いて慢性化しますと,肺の機能そのものが弱ってしまい,その影響が全身に及んで,体力・抵抗力・治癒力などもみな衰えて益々治りにくくなります。そのため,ある人はカゼにかかり易くなり,ある人は呼吸困難を主症状とする喘息を引き起こすようになります。
 慢性化した「咳」の症状で最も多く見られるものは,痰を伴うものです。痰はいろいろな原因によって発生しますが,その主なものは水分の過剰摂取です。この点を改めなければこの種の咳は治らないと言っても過言ではないでしょう。

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■ 慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎

 漢方医学には「肺は鼻に穴を開く」・「鼻は肺に属す」という理論があります。これはつまり,鼻の働きが肺の機能と密接な関係があるということです。言い換えますと「アレルギー性鼻炎・慢性鼻炎・ちくのう症」などの鼻の病気はみな肺が関与した病気であり,肺の働きが正常でないために発生したものというわけです。そのため漢方療法では,どのような鼻の病気でも肺の機能を調整することに重点をおきます(これを「治肺(肺を治療すること)」といいます)。ですから,鼻の病気は鼻だけをいくら手当しても治りにくいということになります。
 鼻の病気にはいろいろな症状があらわれます。症状の違いは肺の病理状態と深い関係があり,肺の働きがどのような形で悪くなっているかによって出現する症状も異なってきます。治療に当たってはこの症状のとらえ方が重要なポイントになります。例えば,「鼻汁(鼻からの分泌物)」を例に挙げて説明しますと,鼻汁が水のように薄いものは「寒証」と言って身体(肺を含む)が冷えている状態ですし,鼻汁が膿のようになっているものは「熱証」と言って肺に熱性の炎症があること(これを肺熱と言います)を意味します。治療では,この寒証と熱証の違いにもとづいてそれぞれ薬を使い分けます。薬の選び方を間違えますと治療は思うように進みません,そればかりか弊害が現れることもあります。
 一般に急性の鼻の病気には肺の機能の調整に重点をおきますが,体質的なものあるいは慢性的な鼻病では,胃腸との関係も重視しなければなりません。秋と冬は呼吸器の病気が発生しやすく悪化しやすい季節です。健康管理には充分ご注意を!

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■ 老人性(乾燥性)皮膚掻痒症

 この症状は,一般に高齢者や体質虚弱の人に発生しやすく,貧血(漢方医学ではこれを「血虚」といいます)が原因になっていると考えられています。つまり,血液の循環が充分でないために全身に栄養分を運ぶことができず,皮膚や粘膜が栄養不足の状態になってしまうわけです。この状態になりますと,皮膚や粘膜が乾燥し萎縮してしまい,皮膚の汗腺組織や神経組織が正常に働けなくなって,炎症も起こりやすくなります。
 そのような人が秋や冬になって乾燥した空気(これを「風燥の邪」といいます)にさらされますと,皮膚の潤いはさらに奪われることになり,乾燥状態が一層激しくなります。秋から冬にかけて健康人でも皮膚がカサカサしたり唇が荒れたりすることがあるのはそのためです。
 「老人性(乾燥性)皮膚掻痒症」の症状特徴には次のようなものがあります。「カユミがあり,掻けば掻くほどカユミが強くなり,皮膚は粉をふいたようになり,掻きむしって出血することもある」などです。カユミ止めの軟膏などを塗っても効果は一時的でさっぱり改善できません。
 本病は,すでにお話ししましたように,貧血による栄養不足が根本原因ですから,症状をとるだけでなく,貧血の改善も同時に行えるような治療方法を用いなければなりません。
 漢方療法では,治療時は個人差を重要視します。例えば,皮膚掻痒症で掻くと赤くミミズ腫れになるもの,ほとんど赤くならないもの,また寝床に入って体が温まるとカユミが激しくなるものなど様々なケースがありますが,漢方治療ではこれらの症状の違いによって薬を使い分けます。

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■ 夜間頻尿

 若いときは寝る前に少々水分を摂っても“夜間排尿”はみられないものですが,中年以降になりますと,何度か夜間にトイレに行くようになるものです。一般に夜間に2回以上の排尿のあるものを「夜間頻尿」と呼んでいますが,時には4回も5回も行くようになり,そのために人によっては熟睡することが出来ないという状況に陥ることさえあり,この様な場合は治療の必要が出て参ります。尿の貯蔵と排泄に直接かかわるのは膀胱ですが,漢方医学ではこの膀胱の働きは腎臓によって調節されていると考えています。ですから,“夜間頻尿”といわれる病症は基本的には“腎臓”の働きが弱ったために膀胱の尿の貯蔵と排泄の働きを調節することができなくなって引き起こされるということになります。事実,この種の病症の治療には腎機能の衰えを回復させる“温補腎陽薬(おんぽじんようやく)”と呼ばれる漢方薬を使用してます。これはつまり,“腎を温めてその機能を盛んにし,腎が持つ膀胱機能調節作用を回復させる漢方薬”という訳です。化学薬品にはこの種の治療薬はありませんが,漢方薬にはきちんとした治療薬が用意されています。“夜間頻尿”は秋から冬にかけての気温の低い時期に多発する傾向があります。また,体質や病状の違いによって配合する漢方薬も異なりますので,お悩みの方はぜひ一度ご相談下さい。

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■ 便秘症

 一言で“便秘症”といいましても,個人によって症状の現れ方にはずいぶん違いがあります。ここでは“便秘”の発生と季節との関係についてお話ししたいと思います。
 人によっては1年中便秘症で悩んでいる方もいらっしゃるようですが,一般的には“便秘”は“秋から冬”にかけての空気の乾燥する季節に発生し悪化しやすい傾向があります。その理由は,夏は暑熱のために水分の補給が盛んになりますので,腸管内の水分が不足することがなくなるためです(時には水分を摂りすぎて下痢症状を引き起こすこともあります)し,これに反して,秋から冬にかけての気候の変化,即ち“気温の低下と空気の乾燥”によって,腸管の潤いが不足し,その結果“便”も乾燥しやすくなり,硬くなりなりすくなるからです。勿論,だからといって水分を夏と同じように多く飲めばすぐに便秘が解消するといった単純なものではありません。ここが難しいところなのです。この種の便秘症には“腸を潤す成分”を配合した漢方薬を用いるのが理想的といえます。
 とくに普段から貧血気味の方や高齢の方は,秋から夏にかけて便が硬くなり,排便しずらくなりますので,注意が肝要です。
 漢方薬にはこの種の便秘症に適合するものがきちんと用意されていますので,ぜびご相談下さい。

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■ 冷えによる“ヒザ関節の痛み”

 秋は天候不順で“湿気と冷えの混じった気候”が多くなりますが,この“冷え”と“湿気”は,四肢の関節部に侵入してその活動に悪影響をもたらすことが多くなります。「関節痛」や「関節リウマチ」を患っている人にとりましては,この種の病状を悪化させる要因にもなりますので,とくに辛い時期といえます。“冷え”は寒冷を意味し,“冷えは下から侵入する”といわれ,主に下半身の関節痛(とくにヒザの関節痛)を起こす原因になりますし,“湿気”は元々は水分ですし,その性質は“重い”ということから,これもまた下半身の関節痛の原因になります。秋から冬にかけてはこの二つの原因が結合して人体に侵入することになり,とくに「膝の関節痛」が発生したり悪化したりし易い時期といえます。
 手足の先端部が強く冷える(これを四肢逆冷といいます)人の“手足の指の関節痛”や“膝の関節痛”でお悩みの方は漢方薬で充分に治療できますので,本格的な冬を迎える前の今の時期からの治療をおすすめします。どうぞ、ご相談下さい。

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■ フケ症

 頭皮が潤いを欠いて乾燥し,白い粉状のフケのたまりやすい人がいます。俗に「フケ症」と言われる病症がそれです。この症状は空気が乾燥する秋から冬にかけて一層激しくなる傾向があります。空気の乾燥によって頭皮の潤いが奪われて発生する症状です。フケの量には個人差がありますが,カユミはそれほど強くなく,時々無意識にかく程度です。また頭皮自体にははっきりした炎症の見られないのも特徴です。しかし,程度がひどくなりますと,フケの量も非常に多くなり,痒いときなどちょっと指先でこするだけで厚いフケが剥がれ落ちてきます。体質的には貧血傾向の人,すなわち「血虚証」と言われる病症に多く現れます。病症としては,漢方医学ではこれを「血虚風燥」と呼んでいます。この症状のある人は洗髪にとくに注意する必要があります。洗髪したそのときは頭皮のフケが洗い落とされてきれいになるのですが,翌日にはまたすぐフケが発生するようになります。あまり気にしてこすり過ぎますと,頭皮に傷がつき炎症を伴うようになります。ときにはフケだけでなく,その部分が赤くなっているものもあり,この症状を「紅班」と呼び,治療ではこれを一種の熱症状ととらえて患部の熱を取る薬物,すなわち清熱薬を配合します。治療によって全身の血液循環が改善され,頭皮に潤いが満たされますと「フケ症」は改善されます。
 「フケ症」の発生原因は基本的にはお年寄りによく見られる「老人性皮膚掻痒症」とよく似ています。しかし,この場合は一見して皮膚面には異常が見られません。しかしカユミを発しますとそのカユミがとても激しく,掻くと白い粉が発生し,ときには血が出るまで掻きむしります。
 「フケ症」は,根本原因が体内にありますので,外からの手当てだけではなかなか治りません。
 漢方薬で改善できます。

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■ 花粉症(花粉アレルギー)

 春は,自然界の動植物が眠りから覚め,その活動が活発になる季節です。また,この時期は冬から夏へ移行する時期でもあり,気候が不安定で,とくに風が比較的強く吹き荒れる傾向があります。そのため,呼吸器や皮膚、粘膜の弱い人はその影響を強く受けるようになります。また,風は色々なものを運んできますが,ここでお話しする「花粉」はその代表的なものと言えるでしょう。現代では,日本において本病で悩んでいる人は膨大な数に上ると言われています。
 風によって運ばれてきた花粉の粒子が,人の皮膚や粘膜に付着しますと,これに過敏な人はすぐにアレルギー反応を起こします。鼻の粘膜に付着しますと“激しいクシャミ、鼻水、鼻づまり”などが現れますし,目の粘膜に付着しますと“涙が多い、まぶたが赤く腫れ上がる、目が充血する、目が痒い”などの症状に襲われます。“アレルギー性鼻炎”ですと,単に鼻炎の症状だけで済むケースが多いですが,“花粉症”の場合は,鼻炎の症状だけでなく,目にも症状が現れ,目の粘膜に炎症を起こして,上述のような辛い症状を併発します。「花粉症」と「鼻炎」の違いはここ(その程度と範囲)にあると言っても良いでしょう。
 漢方医学には,「皮膚は肺に属す」、「肺は鼻に開竅する」、「肺気は鼻に通じる」などの理論があります。これはみな肺と鼻、皮膚、粘膜が密接な関係にあることを説いているものです。(分かりやすくお話ししますと,実際に肺、皮膚、粘膜、鼻は,それぞれ外気に直接触れる点では共通しています。)つまり,鼻や皮膚、粘膜にトラブルが発生しやすいのは,その原因が肺にあり,また肺の弱い人は鼻や皮膚、粘膜も弱く,トラブルが発生しやすいという訳です。
 「花粉アレルギー」で現れる症状は人によって様々です。軽い場合は,軽度な目の痒み、クシャミ、鼻水程度で済みますが,重症になりますと,目が真っ赤に充血してショボショボし,まぶたが赤く腫れて水疱などができたり,激しい炎症を起こして強いカユミを発し,クシャミ、鼻水、鼻づまりも激しくなります。また,中には他のアレルギー性疾患,例えば「アレルギー性気管支喘息」や「アトピー性皮膚炎」などを併発しているケースもありますので,治療に当たっては,これらのことも考慮した治療方法を考えなければなりません。また,花粉症を発する方は,発作時は“涙目”や“鼻水”の症状が現れやすくなりますので,日頃は“水分を多く含む食品の摂りすぎ”には充分な注意が肝要となります。水分の過剰摂取によって粘液などの分泌物が増加する結果,過敏反応も増大するといった悪循環に陥ることになりますので,充分にご注意ください。
 漢方治療の特徴は,すべての病気に対して症状特徴や体質の違いに応じてお薬を使い分けるという点にあります。これは「花粉アレルギー」の治療でも全く同様です。治療に当たり何よりも大切なことは,各人の病状に最も適したお薬を使用することと,日常生活における飲食面での注意点の遵守です。
 漢方治療では,どの植物の花粉が原因になっているのかということはほとんど重視しません。あくまでもそこに発現する病状に基づいて治療薬を決定するという方法になります。ですから,同じ「花粉症」でも人によっては用いる漢方薬が異なります。(逆に,異なる病症であっても同一のお薬で治療を行うことがあります。)
 「花粉アレルギー」は漢方治療によって充分に改善できますし,予防もできます。お悩みの方は,どうぞ当店の漢方治療をお試し下さい。

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