更年期障害

■ 更年期障害の漢方治療

 「更年期」とは元々現代医学的な基準であり,一般に45〜55歳頃に掛けての期間を指します(中医では42〜56歳)。
 女性はこの時期になりますと,月経終了毎に女性ホルモンの分泌がある段階まで低下し続けるため,一部の女性に自律神経失調症状を主症とする不定愁訴が現れ,つらい思いをするようになります。
 症状が多岐に渡ることから「更年期症候群」と呼ばれることもあります(複雑であるため,中医では「婦人雑病」とも呼ばれます)。

 検査を受けても異常が見当たらないことが比較的多く,他人に症状を訴えてもなかなか理解してもらえず,一人憂うつな気持ちで日々を送ります。中にはうつ症状のため死にたいほどつらくなるケースもあります(これを「更年期うつ症」と呼んでいます)。

 一般によく見られる症状には“イライラ、憂うつ、不安感、精神不安、冷え・のぼせ、不眠、動悸、焦(あせ)り、対人恐怖症(人に会いたくない)、疲労・倦怠、食欲不振、腹部膨満感、下腹部痛、強い肩こり、腰痛”などがあります。

 更年期障害は女性だけでなく,近年では男性にも起こる一種の病症と言われていますが,病症としては女性の方が男性に比べてはるかに重い症状を呈すると言えます。その原因については,女性の方が男性よりも“性ホルモン分泌”の低下が急速に起こるためと考えられています。
 (男性型の更年期障害には些か無理があると考えます。恐らくは権威ある専門医師が提唱したものを,何の疑いもなく今に伝えられているだけだと思っています。男女は身体の構造は元より,働きの面では精神活動を含めて女性の方がはるかに複雑です。東洋医学の古い文献には,“これぞ男性型の更年期障害”と言えるような資料は見当たりません。)

 ただ,この更年期障害はすべての女性に現れるものではなく,体質差の大きい病症です。重症の場合はやはり治療する必要があると思います。なぜならば,これが原因となって,連鎖的に“免疫力の低下”や重い“自律神経失調症”を併発して,より複雑な病症へと進展する可能性があるからです。

 治療にはやはり漢方治療が適していると考えます。それは,現代医学の対症療法で用いられるホルモン治療や精神安定剤の安易な使用は副作用などの面で比較的大きなリスクが考えられるためです。(実際には,ホルモン治療や精神安定剤のお陰で助けられている人も大勢いますので,決して全面的な否定はできませんが,リスクは軽減することを目標に考えて行きたいと思います。)

※ホルモンは極微量で絶大な作用を発揮できる物質で,薬量のコントロールが非常に難しい特性があります。中国語ではホルモンのことを“激素(げきそ)”と呼びます。

 本ページは「婦人病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の婦人病についても述べておりますので併せてご覧ください。

更新:2023/07/25


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