「陰部掻痒症」は下腹部下端から肛門周囲に掛けて生じる皮膚病(皮膚・粘膜疾患)で男女共に発症しますが,特に女性に用いられる病症名です。
「陰嚢湿疹」は名前のとおり男性に発症し湿疹が現れるものを指します。「疹(しん)」は点状の,また「斑(はん)」は面状のもの(この場合は発赤)を言います。
どちらも比較的強い痒みを伴い,皮膚としては最も湿気や熱が籠(こ)もりやすい部位で生じ,基本的な治療法も似ています。また,他の炎症を伴う皮膚病と同様に,肥満(特に水太りで,患部の摩擦が多くなる)、過食、便秘、酒類の過飲(この3つは三大熱源です)などで悪化しやすく治りにくくなる特徴がありますので,治療の一環として服薬以外に日常のケアも不可欠です。
身体の内側に原因がある場合(中医では「下焦湿熱(げしょうしつねつ)」または「湿熱下注(しつねつげちゅう)」と呼びます),多くは“尿が濃い、排尿痛、排尿時の熱感、尿が濁る”などの排尿異常を伴い,追加の薬が必要となります。更に女性の場合では帯下(たいげ:おりもの)の量、色、臭いに影響したり,重い場合は患部が爛(ただ)れることもあります。
この他,圧倒的に女性に多い病症としてカンジダ症(膣炎)やトリコモナス症などの日和見(ひよりみ)感染があります。日和見とはこの場合,何らかの原因によって抵抗力が衰え,傷付いた組織の修復が自力では追いつかない情況です。
現代医学では一般に洗浄したり抗生剤などを使用して,これらカビ、細菌、ウイルスなどを取り除く治療を行いますが,日和見状態が改善されていなければ再発を繰り返すことにもなりかねません。
漢方で改善できた例も多くありますし,急ぐ場合は現代医学と合わせた治療も可能です(例えば,洗浄したり塗り薬でつらい症状を抑えると同時に漢方で根治を試みるなどの方法があります)。
本ページは「皮膚病」中の記事とほぼ同じ内容です。その他の皮膚病についても述べておりますので併せてご覧ください。
更新:2023/07/31