中医には,「肺は鼻に竅(きょう)を開く」、「鼻は肺に属す」、「肺気は鼻に通じる」などの理論があり,鼻と(五臓の内の)肺との密接な関係を説いています。ですから,一般に肺が悪くて呼吸器症状(喘息など)が現れやすい人は,鼻の病気(鼻づまりや鼻炎など)を併発していることが多いです。また反対に鼻の病気を患っている人には,同時に風邪を引きやすかったり,咳がつきやすかったり,喘息症状を起こしやすいという傾向が見られます。
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▼ アレルギー性鼻炎(慢性鼻炎) ▼ 薄い鼻水とクシャミ ・ 鼻づまり ▼ 蓄膿(ちくのう)症 ▼ 花粉症(花粉アレルギー) |
アレルギー疾患には,鼻炎の他に気管支喘息やアトピー性皮膚炎があり,これを「三大アレルギー性疾患」と呼んでいます。
いずれも春や秋の季節の変わり目に現れやすく悪化しやすいという傾向があります。
アレルギー性鼻炎はアレルギー疾患の中の代表的な病症の一つでして,激しいクシャミ、鼻水、鼻づまり、涙目が主な症状となります。
人によっては,この三大アレルギー疾患の二つが同時に現れる場合があり,また重い場合ではこの三つ全てが同時に現れるケースもあります。このような場合,現代医学(西洋医学)の治療では,耳鼻咽喉科、呼吸器科、皮膚科などを全て受診しなければなりません。ですが,漢方では病気を全身的な視野でとらえて治療を考えますので,一度(一か所)で済みます。
アレルギー疾患は,いずれの場合もある程度の長期にわたる治療が必要になります。それは体質的(あるいは先天的な)要因が関わる病気だからです。
発作時は鼻水などの分泌物が多く出現しますので,この症状が現れすい人は日頃から生もの、冷えた食品、冷たい飲み物などをできるだけ控えるようにし,特に水分を摂り過ぎないよう注意しましょう。
更新:2023/07/24
この症状は,冷たい風に当たったり,体が冷えたとき,あるいはこれらの原因によってカゼを引いた時などに現れる症状です。また,「アレルギー性鼻炎」などの慢性鼻炎にもよく見られます。
中医では,首から項背部のあたり(五臓の一つである肺も含まれます)が冷え,この部位の陽気が抑えられて水分の代謝が鈍くなり,水分がそのままそこに停滞することで発生すると考え,この病症を「肺寒(はいかん)」と呼んでいます。中には同時に
“胃腸の冷え” を伴っていることもあります。また,中には痰や咳を伴うもの,あるいは喘息症状を伴うものもあります。
治療時は,個々の症状特徴の違いに基づいて治療薬を選定します。また,この病症は体質的要因が元となって発症しますが,他の病気と同様に一種の「生活習慣病」でもありますので,この症状が現れすい人は日頃から生もの、冷えた食品、冷たい飲み物などをできるだけ控えるようにし,特に水分を摂り過ぎないよう注意しましょう。
更新:2023/07/24
この病気は「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」とも呼ばれ,鼻の奥の副鼻腔で炎症を起こして化膿し,そこに膿がたまる病気です。膿が出ずに溜まったままの状態であったり,黄色〜黄緑帯びた鼻水として膿が一緒に出る場合もあります。また,中にはアレルギー性鼻炎を伴っているケースもあります。
治療は,上記のアレルギー性鼻炎の場合とは異なります(治療薬も異なります)。
中医では,蓄膿症の場合は鼻汁が膿状を呈しますので,これを「肺熱(はいねつ)」の病症(肺に熱がこもって比較的重い炎症を起こしている)と考えます。また,アレルギー性鼻炎の場合は鼻汁が薄い水状ですので,これを「肺寒(はいかん)」の病症(肺が冷えて軽い炎症を伴っている)と考えます。
また,蓄膿症の症状にも個人差がありますので,治療時はその治療範囲に適合した薬を選定しなければなりません。蓄膿症は体質的な要因も関係していますので,ある程度の長期治療が必要になります。しかし,きちんと治療(必要であれば飲食の節制を含む)を行えば多くは改善できます。
更新:2023/07/24
春は,自然界の動植物が眠りから覚め,その活動が活発になる季節です(木の芽時とも呼ばれます)。また,この時期は冬から夏へ移行する時期でもあり,気候が不安定で,とくに風が比較的強く吹き荒れる傾向があります。そのため,呼吸器や皮膚、粘膜の弱い人はその影響を強く受けるようになります。
風は様々なものを運んできますが,ここでお話しする「花粉」はその代表的なものと言えるでしょう。現代では,日本において本病で苦しまれている人は膨大な数に上ると言われています。
風によって運ばれてきた花粉の粒子が,人の皮膚や粘膜に付着しますと,これに敏感な人はすぐにアレルギー反応を起こします。
鼻の粘膜に付着しますと“激しいクシャミ、鼻水、鼻づまり”などが現れますし,目の粘膜に付着しますと“涙が多い、まぶたが赤く腫れ上がる、目が充血する、目が痒い”などの症状に襲われます。
「アレルギー性鼻炎」ですと,単に鼻炎の症状だけで済むケースが多いですが,「花粉症」の場合は鼻炎の症状だけでなく目にも症状が現れ,目の粘膜に炎症を起こして上記のようなつらい症状を併発します。「花粉症」と「鼻炎」の違いはここ(その程度と範囲)にあると言っても良いでしょう。
中医には,「皮膚は肺に属す」、「肺は鼻に開竅する」、「肺気は鼻に通じる」などの理論があります。これはみな肺と鼻、皮膚、粘膜が密接な関係にあることを説いています。(分かりやすくお話ししますと,実際に肺、皮膚、粘膜、鼻は,それぞれ外気に直接触れる点では共通しています。)つまり,鼻や皮膚、粘膜にトラブルが発生しやすいのは,その原因が(五臓の内の)肺にあり,また肺の弱い人は鼻や皮膚、粘膜も弱く,トラブルが発生しやすいという訳です。
「花粉アレルギー」で現れる症状は人により様々です。軽い場合は軽度な目の痒み、クシャミ、鼻水程度で済みますが,重症になりますと白目が真っ赤に充血し,まぶたが赤く腫れて水疱などができたり,激しい炎症を起こして強いカユミを発し,クシャミ、鼻水、鼻づまりも激しくなります。また,中には咳や呼吸困難などの呼吸器症状や他のアレルギー性疾患(例えば「アレルギー性気管支喘息」や「アトピー性皮膚炎」など)を併発しているケースもありますので,これらも含めた治療を考えなければなりません。
また,花粉症を発症する方は,発作時は“涙目”や“鼻水”の症状が現れやすくなりますので,日頃は“水分の摂り過ぎ”に注意が必要です。水分の過剰摂取によって粘液などの分泌物が増加する結果,過敏反応も増大するといった悪循環に陥ることになりますのでご注意ください。
漢方治療の特徴は,すべての病気に対して症状特徴や体質の違いに応じてお薬を使い分ける点にあります。これは「花粉アレルギー」の治療でも全く同様です。治療に当たり何よりも大切なことは,各人の病状に最も適したお薬を使用することと,日常生活における飲食面での注意点の遵守です。
漢方治療では,どの植物の花粉が原因になっているのかということはほとんど重視しません。あくまでも体質や病状に基づいて治療薬を選定します。ですから,同じ「花粉症」でも人によっては用いる漢方が異なります。(逆に,異なる病症であっても同一のお薬で治療を行うことがあります。)
「花粉アレルギー」は漢方によって改善できますし,重症化の予防もできます。
更新:2023/07/24