神経症状

 精神的ストレスは人体の働きに大きな影響を与えて様々な神経症状を発生させます。さらに神経の異常は内分泌系や免疫系にも影響を与え,これらの機能を低下させます。その結果非常に複雑な病態をもたらします。
 とくに現代社会は一名「ストレス社会」と言われ,神経をすり減らす事柄も増加の一途を辿っています。精神力(メンタル)の弱い人にとっては深刻な時代と言えましょう。しかし,このような社会であっても,やはり元気で暮らして行くためにはどうしても心身共にある程度柔軟でなくてはなりません。
 “検査では異常がないと言われたが,どうも心身共にスッキリせず,自分でも納得できない”と相談に来られる方も比較的多いです。
 実際に,健康診断や臨床検査などで発見できない病気はたくさんありますし,とくに神経症状を主とする病症では,このようなことがよく見られます。心(こころ)は複雑で数値化しにくい点もその要因の一つでしょう。
 現代医学で処方される「精神安定剤、睡眠導入薬、抗うつ剤」などによって助けられている方が多いのも事実ですが,その場限りの抑えでは原因治療がなされないために延々と服用を続けなければなりません。その間に病状が複雑化したり,薬の副作用や習慣性などの弊害も改善しなければならない課題として残ります。
 漢方薬は長期の服用でも弊害が極めて少なく,病状に合った治療を行うための方法も充実しております。漢方治療によってどうにかこの悪循環から脱して頂きたいです。

● うつ症状

 「うつ病」などに最も多く見られる症状です。「うつ病」は「躁うつ病」の一種で,内因性の感情の憂愁や意欲の低下,あるいは激しい悲哀的情緒などによって精神的不安、悲観的気分、思考渋滞および活動不能に陥り,“頭痛、頭重、不眠、食欲不振”などの症状を訴え,一人で自分の部屋に閉じこもり,人に会いたがらないといった傾向を示します。漢方医学では,多くは「肝(かん)」のある種の機能失調(肝気鬱結という病症)が原因と考えます。「肝」にはその他の臓腑の働きを調節する役割がありますので,「肝」が正常に働きませんと,他の臓腑の働きにもその影響が及び,多くの複雑な症状が現れるようになります。中でも「肝」は「脾胃(ひい:胃腸など消化器系の働き)」の食物代謝を助けていますので,「肝」が機能失調を起こしますと,“食欲不振、下痢、便秘”などの胃腸症状も同時に現れるようになります。また,「心(しん)」の働きも「肝」の影響を受けやすい性質があり,「心」に影響が及びますと,“精神不安、どうき、不眠”などの精神神経症状が同時に現れるようになります。ですから,単に“うつ症状”と言いましても実際には症状特徴や程度にに大きな個人差が生じます。漢方治療は全身的な視野で病気を捉えて,個々人の症状特徴に適合した方法を用いますので,たとえ病名は同じでもあっても,その人にとって必要な治療薬は異なります。
※“うつ症状”が有っても,それは必ずしも「うつ病」とは限りません。仮に「うつ病」であっても程度の差が比較的大きい病症ですし,病名を告げられてもご自身が「うつ病」になり切らないことが薬効や改善に向けての大きな助けになります。

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● 不安神経症

 この病症は,一般に“心身症、うつ病”などの各種神経症に多く見られます。漢方医学では,この症状は一般に「心(しん)」の病症としてとらえています。「心」の機能面に何らかの負担がかかり,多くは“どうき、不安感、不眠”などを伴います。症状の発生には種々の原因が関与しますので,その原因の違いによって治療薬を使い分けるようにしなければなりません。原因の違いとは,「心」だけの問題としてとらえるべきものとそうでないもの,例えば「心」と「肝」の間の生理関係が乱れて現れるもの,あるいは「心」と「腎」または「心」と「脾」などの相互関係が異常を来たして現れるもの,あるいはこれら全部が病理状態に至って現れるものなどがそれです。中には更に複雑な病状もあります。一般には「うつ症状」と同じ考え方で治療を進めます。経験によりますと,この種の症状はある程度長期の治療が必要となりますので,焦らず続けることが肝要です。治療にはその人の病態に合った漢方薬を用いれば,たいていのものは改善できます。お悩みの方,ご相談下さい。

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● 不眠症

 不眠症のことを,漢方医学では「失眠」と呼びます。主な症状は次のようなものです。“寝つきが悪い、眠りが浅い、一度目が覚めるとなかなか寝つけない、イヤな夢を多く見る、動悸(どうき)がして眠れない、動悸で目が覚める、一晩中ほとんど眠れない、寝不足で昼間眠い”などです。もちろん,生活面で何かはっきりした原因があるのでしたら,先ずそれを解決することが重要となります。しかし,不眠が長期間続いて体調を大きく崩したときは,やはりお薬の力を借りなければなりません。このような際にも漢方薬は有効です。

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● どうき(胸部のどうき・腹部のどうき)

 これも「心(しん)」の病症の一つとして考えられるものです。しかし症状には個人差があります。“動悸(どうき)”が胸部(心臓部)で打つもの、腹部(へそ周囲)で感じるもの、下腹部からみぞおちや胸部に突き上げるように感じるもの、全身が脈打つように感じるもの、特に夜間に強く感じるもの、不安感や不眠を伴うものなど様々です。また,他の臓腑の機能異常を伴っているケースもありますので,やはり全身状態を考えてお薬を選定しなければなりません。

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● ストレスによる胃腸症状

 心配事や好ましくない事があると食欲が低下するのは誰にでも見られる現象ですが,強く緊張すると胃がキューッと痛くなったり,腹にガスが溜まって苦しくなったり,時には腹痛を発すると同時に下痢や便秘を起こす場合があります。さらにまた,精神的ストレスが長期間続いたために,消化道(胃や十二指腸など)に潰瘍を引き起こすケースもあります。漢方医学では,ストレスによって発する胃腸症状は「肝(かん)」の機能失調と関係があると考えます。それは,漢方医学でいうところの「肝脾不和(かんぴふわ)」あるいは「肝気犯胃(かんきはんい)」といわれる病症です。現代医学ではこの種の症状は治療しにくいのですが,漢方医学では古くから治療法が確立しています。

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● メニエル氏病

 本病の発生は,「胃内停水」と深い関係があります。“激しい回転性のめまい、吐き気、嘔吐、動悸(どうき)”などを主症状とし,“むくみ、頭痛、頭重、身体が重だるい、胃の中がチャブチャブする”などの症状を伴うこともあります。一種の冷え(主に胃腸の機能低下)や水分代謝異常によって発生していると言えます。この症状がよく発症する方は,日頃は水分の過剰摂取や冷えた食品、なま物の摂り過ぎには特に注意しなければなりません。漢方で充分に改善できます。

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● ノドの異物感

 ノドもとにいつも何か異物が引っ掛かっている感じがし,飲み込もうとしても下がらず,吐き出そうとしても出ず,それでいて飲食には支障がなく,時にに吐き気や咳を伴い,声がかれやすくなり,そのためノドにポリープや癌でもできたのではないかと本気で心配し,とても憂うつな気分に陥ります。また,検査を受けてもノドには異常が見られず,その日によって強く気になることもあれば,何も感じないこともあります。一種の神経症状でして,女性に多く見られるのも特徴の一つです。漢方医学では,これを「痰(たん:体内に停滞する不浄な水分)」が災いした病気の一種と捉えており,この病症を「梅核気(ばいかくき)」と呼んでいます。これも漢方で改善できます。

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● 強度の緊張症

 強い興奮や緊張の際に,多くの人は“手に汗を握る”といった状態になります。しかし,これが程度を越えますと,強い緊張のあまり気が動転して,全身に響くような動悸を発し,身体や手足がガタガタ震えて,自分が何を言っているのかすらも分からなくなることがあります。とくに仕事などで大勢の人を前にして話をしなければならない場合では,それが始まる何日も前から強い緊張感に襲われて自律神経失調の状態に陥り,大きく体調を狂わせてしまいます。漢方ではこのような症状を和らげてくれる処方が多種あります。

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● 気力の低下

 生活上での生き甲斐とか仕事上でのやりがいや使命感などが感じられなくなると,人は誰でも一時的に気力が低下して,気分が盛り上がらず,やる気もなくなってしまうといった弱い面を持っています。しかし,本当にこれが一時的なものであれば良いのですが,長期にわたりますと肉体面の異常にも目を向ける必要が生じて来ます。検査では分からないような原因が潜んでいるかも知れないためです。またこれとは別ですが,毎日睡眠を充分にとっているはずなのに日中頭がボーッとして眠気がさしたり,物事に集中できずにミスが多くなったり健忘(もの忘れ)を生じるといった一種の陽気不足もあります。考えられる原因が広いため,治療法も多種多様です。

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● 胸中煩悶感(胸中の熱感)

 更年期の女性に多く見られる症状です。現代医学では性ホルモンのバランスの乱れと自律神経失調によって発生すると考えられています。“胸中の閉塞苦悶感と熱感”を主症状とする,言葉だけではなかなか表現(説明)しにくい辛い症状です。“イライラ感、動悸(どうき)、不眠、のぼせ、身体(特に首から上部)が急にカーッと熱くなって発汗する”などの症状を伴うことが多いです。漢方医学では,この種の症状を「肝」と「心」の病症として捉えており,治療法も確立しています。

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● 月経時の激しいイライラ感

 漢方医学には,「肝は怒を主(つかさど)る」という理論があります。また,月経の調節には「肝」がその主役を担っているとも考えます。月経が近づくと,いつも決まって体調が大きく乱れ,自分でも分かるほどイライラしたり怒りっぽくなる人がいます。このような人は,日頃から精神的ストレスの影響を受けやすく,緊張すると腹にガスが溜まりやすく,時に腹痛を起こし,月経前後で下腹部痛や乳房の強い脹りと痛みを伴い,経血に血液の塊が多く混じるなどの傾向も重なりやすくなります。漢方医学ではこの種の病症を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と称し,「肝」の病症と捉えて治療を行います。

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● 緊張すると腹にガスがたまりやすく,腹痛や下痢を起こしやすい

 物事に対して長時間我慢し続けたり緊張し続けたりするといつも胃腸の具合が悪くなり,腹にガスが溜まりやすく,時には腹痛や下痢を起こすという人がいます。学生さんなどでは,テストが近づくたびに胃腸の調子が悪くなって下痢を起こすという相談を多く受けます。また,仕事上でイライラや緊張が多く,度々この症状に悩まされるというケースもあります。現代医学でいわれる「過敏性(大)腸症候群」という病症もこれに含まれると考えます。漢方医学では,精神的ストレスによって発する胃腸症状はある種の「肝」の機能失調が関与していると考えます。「肝」は全身の「気(働きの原動力)」の循環を調節しておりまして,臓腑の働きもまた「肝」によって調節されています。「肝」は抑えつけられることをとても嫌い,自由に伸び伸びと働くことを喜びます。「肝」のこの種の性質を“肝は条達を喜ぶ”と言います。つまり,何の制約も与えずに楽に働かせると,「肝」は非常に楽な状態で全身を調節してくれるということです。「肝」のこの種の調節作用の中には精神神経の調節も含まれます。そして,この中でも「肝」と「脾胃(ひい:胃腸など消化器系の働き)」との関係はとくに重要であり,「肝」の働きが悪くなるとまっ先にその影響が及ぶのが,この「脾胃」なのです。また,「肝」は精神的ストレスの影響を最も受けやすい性質がありますので,“イライラ、我慢、緊張”などの精神的ストレスを受けると,その影響がすぐに胃腸に及んで,「肝」と「脾胃」の調和が乱れ,その結果胃腸の働きを停滞させ,胃腸にガスがたまるようになり,腹部に膨満感や痛みを発したり,下痢や便秘を起こすようになるのです。「肝」と「脾胃」の間の調和が乱れた病理現象のことを「肝脾不和(かんぴふわ)」と呼んでいます。漢方医学では,この種の病症に対する治療法が確立しています。ストレス性の胃腸病でお悩みの方は,ぜひ当店の漢方治療をお試し下さい。

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● 決断がつきにくく,ビクビク・クヨクヨする

 一種の神経症状に属すものです。多くは“吐き気、軟便・下痢、胃部停滞感、食欲不振、舌苔(舌面の白い苔状のもの)が厚い”などの胃腸症状と,“寝つきが悪い、眠りが浅い、夢を多く見る、動悸しやすい、小心”などの神経症状を同時に現します。この種の症状は,昨今では長期にわたって精神安定剤などを服用し続けている方に多く見受けられます。

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● ストレスによる身体の不調(ノイローゼ)

 一般に,中年とされる年代は,家庭内や仕事上の問題で何かと神経をすり減らす事柄が多くなるようです。家庭内では,高齢を迎えた両親との問題や子供たちの教育、受験、就職あるいは結婚などが,更にまた自分自身の定年や転職の問題など,おろそかにできない大きな問題が否応なくやってきます。また,若い方でもそれなりに対人関係や仕事上の問題などで思うように行かない事柄が山積し,そのために焦りと不安感に襲われ,精神状態が不安定になって神経症状を主とする病症で悩むようになります。更にまた,現代のようなテンポや変化の激しいIT時代では,能力的にも年齢的にもにそれについて行くことのできない方が大勢います。しかしそれでも生活するためには,どうにかしてこれらの障壁を乗り越えて行かなければなりません。
 体調を大きく崩しますと,“胃痛・腹痛、下痢、吐き気、食欲不振、痩せる”などの胃腸症状や,“不眠、精神不安、動悸(どうき)”などの神経症状が強く現れるようになり,さらに人と会うことを拒み,一人で部屋に閉じこもって家族との会話も少なくなり,やる気を失い,しまいには希望をもすっかり無くし絶望感に陥るなどの状況に至ってしまいます。治療は,やはり早い段階で始めることが大切です。漢方には効果的な治療薬がありますので,お悩みの方はぜひ当店にご相談下さい。

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● パニック障害

 近年,多く見られる神経症状の一種ですが,中には数千年前から治療を施されてきた特徴も見られますし,決して全てが新型の病症(現代病)ではありません。
 20歳以降の比較的若い世代層に多く見られ,人混みや電車の中などで突然激しい動悸の発作に襲われ,息が詰まりそうになり,そのまま死んでしまうのではないかと感じるほど不安感と恐怖感に包まれるという病症です。そのことがあってから,同様の発作が再び起こるのではないかという不安をずっと抱え続け,人混みに出向いたり電車に乗ることができなくなり,時には外出することさえできなくなります。また,何か重大な病気にかかっているのではないかと心配にもなります。症状の発生には必ず原因がありますので,治療ではその原因の把握が重要になります。
 この病症の原因を漢方医学的に考えますと,主に“「心」の機能失調”と関連性があると考えられます。また,人によっては「肝(かん)」や「脾胃(ひい:胃腸など消化器系の働き)」が関連しているケースも考えられます。

 現代医学では,突然下記のような症状が同時に4つ以上現れ,それらが10分以内に頂点に達するのを「パニック発作」と呼んでいます。
 1.突然,心臓が激しくドキドキする。
 2.息切れがしたり,息苦しくなる。
 3.めまいやふらつきがあり,気が遠くなる感じがする。
 4.発汗がある。
 5.ふるえが止まらない。
 6.息が詰まるようになる。
 7.胸部に痛みを感じる。
 8.吐き気がしたり,お腹に不快感がある。
 9.現実でない感じ,または自分が自分でないような感じがする。
10.自分をコントロールできなくなるのではないか,または気が変になってしまうのではないかという恐怖感がある。
11.死んでしまうのではないかという恐怖感に襲われる。
12.感覚がマヒしたり,うずく感じがする。
13.寒気,又はほてるような感じがする。

 「パニック障害」は漢方でも治療が可能ですし,上記以外の特徴が有っても独自の視点で治療を行いますので,色々治療を試みても効果が得られなかった方は,ぜひ一度ご相談下さい(もちろん初めての方にもお試し頂きたいと存じます)。

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