治療の心得
− 漢方治療と養生法 −

 病気はお薬を飲むことだけでは治療になりません。治療にはそのための環境づくりが大切です。漢方治療ではよく『治療三分、養生七分とすべし』といわれます。病人の病状に合った処方を考えるのは私どもの役目ですが,きちんと養生するのはお客様の役目です。
 ここでは,漢方治療に関すること、日頃の健康維持に必要な事柄、治療中に養生法として心得るべき事柄などについてお話しします。

1.漢方薬の運用には高度な専門知識と経験が必要です。安易に使用しますと,効果がないばかりか,副作用の心配もでてきます。漢方医学には治療面でいくつもの法則があり,注意深く慎重に用いなければならない部分がたくさんあります。漢方薬は漢方医学の考え方に従って正しく運用しなければなりません。素人療法は禁物です。

2.「冷え症」の人は,平素から体を冷やすような服装をせず,また内臓を冷やすような食品(例えば,生ものや冷たい物、あるいは水分や水分を多く含んだ飲食物)をできるだけ控えるようにしましょう。冷え症の治療中はとくに注意が肝要です。

3.「胃腸病」を治療するときは,食生活に充分気を配りましょう。胃腸病の発生はもともと毎日の食生活面に原因があり,その点をきちんとせずにお薬だけを服用しても治療は進みません。

4.一般に,肥っている人は人参(朝鮮人参)の配合された漢方薬は使用してはいけません。とくにこれを長期間服用しますと,食欲旺盛になり過ぎたり、肥満がさらに進んだり、高血圧になったり、尿が出にくくなったり、むくみを発したりすることがあります。人参は本来痩せた人(栄養不足の傾向の人)の種々の病気に使用すべきものです。疲れやすいということだけで単純に人参剤を服用することは決してよくありません。

5.「出血や炎症」の症状のあるときは,食品としてはとくにトウガラシあるいはこれを使った料理(キムチ、明太子など),あるいはアルコール類は極力控えましょう。また漢方薬では,麻黄(マオウ)を含むものは服用してはいけません。

6.授乳中は,たいていの漢方薬はとくに問題はありませんが,大黄(だいおう)の処方された漢方薬は注意が必要です。

7.よくテレビの健康番組などで,高齢者に対して,血液が濃くならないように“水分をできるだけ多く摂りましょう”と言っているのを耳にします。しかしこれには多くの問題があります。いくら水分が大切であると言っても,ほどほどにしませんと漢方医学で言う“水毒症状”を引き起こす原因になります。すなわち,「体が冷えやすくなる、風邪を引きやすくなる、涙・鼻水・汗が多く出やすくなる、痰が湧くようになる、咳・むくみを発する、頭が重くなり、体が重だるくなる、夜間の排尿回数が増える(夜間頻尿)、吐き気や下痢などの胃腸病を起こしやすくなる、口内炎ができやすくなる、耳や目に障害が起こりやすくなる、関節に水がたまりやすくなる、人によっては血圧が高くなる」などの症状を発しやすくなります。ご注意を!!

8.「痰(たん)を伴う咳やゼンソク」の人は,日頃は水分の過剰摂取に充分気を配りましょう。漢方医学には,“水が集まれば痰となる”という一種の格言があります。これはすなわち,水分の摂りすぎは痰の発生につながるということです。水は飲めば飲むほどノドが渇くという現象もあらわれます。とくに痰を伴う呼吸器疾患でお苦しみの方は,習慣になっている水分の過剰摂取をできるだけ控えなければなりません。もしどうしてもノドが渇いて水を飲みたければ,ノドの渇きを潤す程度にして少しだけ飲むようにして下さい。また運動などして汗が多く出たためにノドが渇いたのでしたら,飲み過ぎないように気を付けて補給して下さい。そうしなければ,慢性化した咳やゼンソクは絶対に治りません。このことは,咳やゼンソクを治療する上で非常に大切なことなのです。

9.「不眠症」や「高血圧症」の人は,治療中はもちろんのこと,平素はコーヒーや緑茶などカフェインを多く含んだ飲み物を極力避けるようにしましょう。


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