自律神経失調症

■ 自律神経失調症の漢方治療

 この病症は自律神経(即ち,交感神経と副交感神経)の調和が大きく乱れることによって発生する病症と考えられており,また一つの病症を指すものではなく,すべての病症に付随して現れるものと思ってもよいくらいです。症状の現れ方には個人差がありますし,人によっては非常に辛い病症ともいえます。この病症も漢方薬で治療できます。
 ここでは,神経症状の発生に深く関与している自律神経の働きとその失調症についてお話しします。まず最初に自律神経について簡単にご説明しましょう。例えば,私達の手や足は自分の思ったとおりに動かすことができますが,心臓の運動、胃腸の働き、血圧の調節、体温の調節などは,自分の意志ではどうすることもできません。これら自分の意志で自由に動かしたり調節したりすることのできない器官を規則正しく動かしているのが自律神経なのです。生命を維持するために最も重要な神経といっても過言ではないでしょう。この自律神経は私達の頭の中にある間脳の視床下部という中枢器官の働きによって調節されています。つまり,間脳の視床下部は自律神経の働きに対して指令塔の役割を果たしている訳です。そして,この視床下部には私達の体内の物質代謝、水分代謝、性機能、睡眠などの中枢も含まれています。自律神経失調症といわれる病症は,実はこの間脳の視床下部の調子がおかしくなって発生する症状なのです。またこの神経の中枢器官は各種のホルモンの分泌とも密接な関係がありますので,視床下部の異常は直接ホルモン分泌の異常をまねくことにもなります。
 それでは,この自律神経失調症を漢方医学ではどのように考えているのでしょうか。これに関する漢方医学の大きな特徴は,自律神経失調症を臓器の機能異常としてとらえていることです。例をあげて説明しますと,例えば「耳鳴り・腰がだるい・夜間頻尿・白髪・精力減退・前立腺肥大など」は腎臓の衰え(これを腎虚といいます)と関係していますし,「どうき・不眠・不安感・夢を多く見る・物忘れ・舌の先の痛みなど」の症状はみな心臓と,また「食欲がない・体がだるい・気力がない・手足がだるい・疲れやすい・背中が凝って痛い・慢性下痢など」は脾臓と,またさらに「頭痛持ち・イライラ・怒りっぽい・目がかすむ・視力低下・情緒不安定・緊張すると手がふるえる・緊張などの精神的ストレスによって発する下痢や腹にガスがたまって苦しくなるという症状・血圧不安定・生理不順・ある種のヒザ関節の痛み・筋肉のケイレン・ふくらはぎの筋肉の引きつりと痛みなど」は肝臓の機能異常と関係があるという具合です。ですから,自律神経失調症を漢方薬を用いて治療するときは,症状を分析して臓器との関連性を調べ,症状の程度や体質の違いに合わせて漢方薬を選択するようにしなければなりません。簡単なことのように思われるかも知れませんが,実はこれは非常に難しいことでして,やはり高度な専門知識と経験が必要になります。また,この自律神経の調節は肝機能が大きく関与しており,自律神経失調症は肝機能異常と密接な関係があると理論づけています。これは肝炎かどうかは関係なく,体質的なものと考える方が良いでしょう。
 自律神経失調症に対しては,いろいろな漢方薬が用意されています。他の病気の治療と同様に個人の体質や病状に最も適合した配合を考えることが重要なポイントとなります。漢方医学は全身的な見方で病症をとらえるという考え方ですから,漢方治療は自律神経失調症のような複雑な病症に対して最も適しているといえます。

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